第17話 運命のズレ
私は誰にも言わずに、自室のベッドに潜り込んだ。
ここ数年出たことのない高熱。とても普通にしてはいられない。
しかし私には、熱による辛さ以上の恐怖を感じていた。
こんな高熱、私の未来では出なかったからだ。
この世界線では、私は先の出来事を知っている。
その上で生きているのだから、もちろん行動が変わる。
行動が変われば運命がズレる。だから、出なかった熱が出ることだってあるだろう。
ただ問題は。
これが、ただの風邪ではなく、あの感染症かもしれないということ。
私を介してお姉ちゃんに感染するかもしれないリスク。確かにそれもある。
ただもう一つ。初めて感じた、もっともっと怖い可能性。
私が死ぬかもしれない可能性だ。
——私はお姉ちゃんの妹。重症化しやすい体質の可能性だってある。
お姉ちゃんを助ける前に、もしかしたら私が死んでしまう。
急に襲ってきた寒気と恐怖。
震えと涙が止まらなくなった。
「——ねえ、いるの?」
そんな時に聞こえたノックの音と声。
お姉ちゃんの声だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます