第17話 運命のズレ

 私は誰にも言わずに、自室のベッドに潜り込んだ。


 ここ数年出たことのない高熱。とても普通にしてはいられない。


 しかし私には、熱による辛さ以上の恐怖を感じていた。


 こんな高熱、私の未来では出なかったからだ。


 この世界線では、私は先の出来事を知っている。


 その上で生きているのだから、もちろん行動が変わる。


 行動が変われば運命がズレる。だから、出なかった熱が出ることだってあるだろう。


 ただ問題は。


 これが、ただの風邪ではなく、あの感染症かもしれないということ。


 私を介してお姉ちゃんに感染するかもしれないリスク。確かにそれもある。


 ただもう一つ。初めて感じた、もっともっと怖い可能性。


 私が死ぬかもしれない可能性だ。


 ——私はお姉ちゃんの妹。重症化しやすい体質の可能性だってある。


 お姉ちゃんを助ける前に、もしかしたら私が死んでしまう。


 

 


 急に襲ってきた寒気と恐怖。


 震えと涙が止まらなくなった。


「——ねえ、いるの?」


 そんな時に聞こえたノックの音と声。


 お姉ちゃんの声だ。

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