第13話 10万円の給付
やっぱり、どう考えたって無理がある。
出かけようとするお姉ちゃんの動きを阻止し続けるのは無理だと、一週間もせずに痛感した。
だってお姉ちゃんからすれば納得がいかない。自分が死ぬ未来なんて知るよしもないんだから。
ただ姉妹関係が悪くなるだけ。効果がない。試してみてそれがわかった。
ならば、2021年の6月が近くなった時に、短期決戦でその作戦を強行すればいいのだろうか。
お姉ちゃんが感染するタイミングさえ、行動制限でスキップしてしまえば助かるのだろうか。
4月20日。国が全国民に10万円を配布する方針を決定。
この出来事はインパクトがあったから覚えている。私の知る未来とズレはない。
ということは、お姉ちゃんが死ぬのもやっぱり、2021年6月でズレはないと考えるべき?
逆にいえば、その日を迎えるまでお姉ちゃんは絶対に感染することはないってこと?
それならそれで、やれることはありそうだけれど……。
その数日後、私の期待はへし折られることになる。
4年生の最後、突然に決まった一斉休校。今年度になって、当時渡されなかった成績表が担任の手によって家まで届けられたのだ。
私の記憶にある成績表とは微妙に違っていた。
私が未来を知った上でこの時間軸を過ごしているから?
それによって行動が変化しているため?
原因はわからない。
それでも、未来は少しずつズレてきている。
それは未来は変えられる余地があるという証拠ではあるけれど。
裏を返せば、来年の6月を待たずして、お姉ちゃんは死ぬかもしれないということだ。
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