第11話 大学生活

 お姉ちゃんは大学に合格したが、4月になっても登校することはなかった。


 “リモート授業“なるものが登場し、講義は家で受けることになったようだ。


 せっかく一生懸命に受験勉強をしていたのに。かわいそうだなあって思う部分もある。


 それでも、お姉ちゃんの未来を知る自分としては、歓迎していい措置だった。


 お姉ちゃんの行動が制限される。それはそのまま、お姉ちゃんの生存率を上げることにつながる。


 2021年6月までに行われた緊急事態宣言は3回。


 3度目になると、人々は最初ほどの緊張感を保てなくなったように見えた。


 それは自分が「感染しても死なない」と思っているからじゃないだろうか。


 正直、私も、きっとお姉ちゃんも思っていたよ。


 お姉ちゃんが死ぬまではね。


 けど大半の人は、一個人であるお姉ちゃんを守ることを理由に行動を制限してはくれない。


 そんなことを私ができるなら、国も都道府県も苦労しなかった。


 大勢の人の行動制限はできない。


 あれ。でもそれなら。


 お姉ちゃん一人の行動さえなんとかできれば、私はお姉ちゃんを救えることになるんだろうか?

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