第4話 信じてもらえない

 これから感染症によって、世界中で大勢の人が死ぬ。


 そんな話を小学生が語ったとして、誰が信じるんだろう。


 確か最初に日本で騒ぎになるのは、クルーズ船の一件。


 私が「船を入れないで」と言えばそれで止まるの? そんなはずはない。


 じゃあ、未来を言い当てればみんなが信じるんだろうか。


 例えば休校。株価の大暴落。オリンピックの延期。


 当てずっぽで当たるはずのない出来事の数々。


 叫べばみんなが信じるのだろうか。


 ——お姉ちゃんが死なないなら、人目なんて怖くない。


 教室の端で、私は大きく息を吸った。


 でも声にはできなかった。


 もし全てを言い当てたとしたら。


 私は世の中から見てどういう存在になる?


 未来人のような扱い。私を抑えれば、世界の未来を牛耳ることだってできる。


 私自身も。私の家族も無事でいられるはずがない。


 私に何ができる? 何かしなきゃ。


 そう思うのに何もできない。


 私には力がない。

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