第3話 日常
学校に行くと、懐かしい景色。
ほとんどの子がマスクをしていない光景が広がっていた。
「あーあ。学校めんどくさいよねえ。もっと冬休みが長ければいいのに」
友達の一人が言った。
普通だったはずのこの日常はもうすぐ失われる。
それがわかっているのは、多分、この世界で私だけなのだ。
確か、中国で最初にウイルスの存在が確認されたのは1月の前半。
つまりウイルスそのものはもうこの世界に存在した後のタイムスリップ。
できることは、拡大させないこと。あるいはお姉ちゃんを感染させないこと。
この2つ。
できなければ、お姉ちゃんは1年半後に命を落とす。
2021年の春休みに、私は自由研究で今回のパンデミックについて調べていた。
こんなことになるとは思ってなかったから、細かいことまでは思い出せない。
でも大雑把な時系列なら思い出せる。
この後、世界がウイルスを認識。少し遅れて日本がその存在を知って対応。それから全国的な休校。
すべての動きが世界規模。国家規模の話。
普通の小学生の私に何ができる?
話したところで信じてもらえるわけがない。
それでも時間がない。
できることからやってかないと。
日本で「第一波」と呼ばれる感染拡大があったのは3月ごろ。
あと2か月後に迫っている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます