第3話 信頼
Noahは情報収集のために冒険者から話を聞こうとしたが、突然攻撃されたのでそれを制圧した。
結果は交渉の失敗に終わり、次の人間へとターゲットを切り替えるが、直後Noahの背後から怒号が襲いかかる。
「なにごとじゃ! クソ野郎共がぁ!!」
それはNoahよりも、制圧した冒険者よりも小柄で、黒肌に白鬚を生やした腰を曲げた老人だった。
「あなたは?」
「儂ぁ、ライグルドじゃ。此処のギルドマスターをしておる。見ない顔だのぉ? 此処に来てから早速暴れおって……」
「私はNoah。レイ・バシレウスから承った大災害の原因を調査し、事前に阻止することを目標に、現在情報を集めています。
こちらの冒険者から話を聞こうと思ったのですが、突然襲いかかって来たため、対処いたしました」
「対処ったぁ……コイツもう動けねえじゃねぇか……」
「私も損傷する可能性があったため、反撃を不可能にすると判断しましたが、もう少し手加減するべきでした」
「損傷……まぁええわ。お前なぁ、この世は話し合いだけでなんでも済ませられる訳じゃあ無いんじゃ。
特に此処、ギルドは信頼が要だ。お主も話を聞きたいんならギルドにお前の活躍を見せい。さもなくば、此処では話など自由に聞く事は出来ん……」
重要施設 冒険者ギルドの詳細情報を更新
情報は信頼で買わなければならない。
冒険者は世界中を旅する人種のため、酒場より、より正確な情報を得られる可能性が高い。
最終目標に対する行動の優先度を変更。
「分かりました。信頼を得るには、冒険者ギルドから発令される依頼を受ければ得られるのですか?」
「なんじゃ、分かっとるんか。そうだ。とにかくどんな依頼でも良い。大きな依頼を受ければすぐに信頼を得られる訳でも無い。小さくとも積み上げ、ギルドに自分の力を見せつけろ。そうすればお前の望む情報とやらが得られるじゃろう」
「分かりました。ではどのような依頼が最も効率よく信頼を得られるでしょうか?」
「あぁ? そりやぁ、魔物討伐じゃろう。魔物は我ら人間にとっては脅威となる存在じゃからのぉ。例えそれを倒せる冒険者がいようともそれを全滅させることは不可能じゃ。
なにせ魔物はどこから現れているのか全く素性が分からん生き物故な」
「分かりました。ではこれから王国周辺の魔物を殲滅します。戦闘モードに移行」
Noahはそう宣言すると戦闘モードに移行しそそくさとギルドを出て、王国の外へ行った。
────王国外──────
周辺地域の地形情報を取得。
生体レーダーを起動 生体反応有り。
現在地より半径50メートル範囲内に種族問わず魔物を62匹発見。
これらの状況から最適な装備を機体にアップデートします。 完了しました。
全62匹の魔物の位置を確認 補足。
『小型拡散誘導ミサイル発射』
Noahは前屈みにしゃがむと背中の装甲が両開きに展開し、中から一つのミサイルがゆっくり突出する。
そしてNoahが『発射』と言えば、ミサイルは真上真っ直ぐに高く発射され、ある程度まで上昇すると空中で無数の小型ミサイルへと形を変えて、四方八方へと拡散する。
小型ミサイルと言えどその威力は侮れず、Noahが補足した魔物に向かって飛んでいったミサイルは魔物に直撃すると勢いよく爆発し、Noahの周囲では轟音がいつまでも鳴り響く。
「なんじゃあ、ありゃあ……」
信頼を得るためとはいえ、なんの装備も無しに魔物討伐へ向かったNoahを心配して追いかけて来ていたライグルドは、その後ろ姿を唖然とした表情で見つめていた。
その気配にNoahは気が付き、ライグルドの方を振り向く。
「殲滅、完了しました」
アンドロイド異世界転生記録 Leiren Storathijs @LeirenStorathijs
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。アンドロイド異世界転生記録の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます