普段通りの (短文詩作)(※えっち注意)

春嵐

普段どおりの事後

「ねえ」


「はい」


「セックス中さ。なんか、ムードが。なかったよね」


「はい。ごめんなさい。おれのせいです」


「いや、そうじゃなくてさ。なんか、お掃除するとか、ごはん食べるとか、そんな感じの雰囲気でセックスするのは、わたし初めてだったから」


「ごめんなさい。どうしてもそういうのうとくて」


「よし。結婚するか?」


「え?」


「わたし。気に入ったんだけど。日常生活みたいな雰囲気でセックス。いいね」


「うそ。まじで?」


「まじで。顔目当てとか身体目当てとかじゃない、わたしと一緒に暮らしてる感がいい」


「ありがとうございます」


「おーけー?」


「あ、あの」


「はい」


「容姿について。よろしいでしょうか?」


「なるべくご要望に沿いますが?」


「しょーとかっとがすきです」


「ショートカット」


「おけしょうしてないほうがすきです」


「化粧してないほう?」


「化粧品の匂いがなんかちょっとはなを刺激されてしまうので」


「あ、そなの。わかった」


「あと多少ふとももがやわらかいほうが」


「太れって?」


「ごめんなさいすいません」


「わかった。ぽてちたべる。ぽてち好きだったけどえっちするからって我慢してた」


「そうなんですか」


「終わりですか?」


「終わりです」


「承りました。ショートカットすっぴんむちむちふとももをご期待ください」


「ありがとうございます。こちらに対しては何かございますでしょうか?」


「今まで付き合った人の数。おしえて」


「それはご容赦いただけると」


「ん?」


「じゃあそちらも教えてくれれば、お答えします」


「ふむ」


 しばらくの無言。

 そう。

 このふたり、先程のが初セックスである。

 まだ、それを言う勇気はない。お互いに。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

普段通りの (短文詩作)(※えっち注意) 春嵐 @aiot3110

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る