第22話 雫の悩み

長い間休んですみません。

これから更新頻度は落ちますがちゃんと更新していきます。

_____________________________________



 雫に連れられて校舎裏に来ると、そこには一人の先客がいた。

 

 その人はすごく中性的でパッと見、女か男か区別できない。

 女子制服を着てるから女のはずだが・・・


「ふぅん...君が雫の弟で彼氏君かい?」


 (まずい!!それは秘密のはず。どこから漏れた?)


 真っ青になってしまった俺の顔がツボにハマったのか大笑いしている。


「アッハッハッハ。そんなに青くならなくってもいいよ」


「まったく、あんたのせいで全然話が進まないじゃない」

 

 あんまり笑っているのを見かねたのか雫が助け舟を出してくれた。


「アッハッハ、すまない。君の彼氏君の真っ青な顔が面白くってついね」


「あんたが説明してくれるって言うから連れてきたのに」


 やっぱりなにか相談事があったから俺をここまで連れてきたらしい。


「すまないね。ボクは住良木香澄。雫の悪友だ。ちなみに君たちの関係をどうのこうの言うつもりはない。本人たちが納得しているのを周りが騒ぐことはないからね」


 この人変な人かと思ったけどけっこうまともだ。


 そこまで言うと先輩は真剣な顔になった。どうやらかなり真剣な話をするらしい。


「君の彼女。つまるところ雫が3週間前くらいからとある男に言い寄られていてね。その男がまともな奴だったらまだマシだったんだが、黒い噂が絶えないやつでね」


 その男がクソなやつだということは、先輩が話し始めた途端震えだした雫の様子からよくわかる。

 

 俺は雫の傍に駆け寄って背中をなでてやるが、震えは落ち着かない。


 俺たちの様子を見てほほえましかったのか先輩は微笑を浮かべるが、すぐにそれも消え、真剣な顔つきに戻った。


「その噂ってのが、いじめの主犯格だったり、放課後に女子生徒が空き教室に連れ込まれて口をガムテープでふさがれてレイプされたりだとかだね」


「教師は何も動かなかったんですか?」


「あいつは外面だけは良く、教師の間でも信頼されている。それにあいつは人目につかないところだったり、防犯カメラのないところでやっているからよほどたちが悪い」


「それでもいじめられり、レイプされた人が黙っていないんじゃないですか?」


 それは希望にすがるような問いかけだったが、先輩は沈んだ表情で首を振りながら答えた。


「過去に一度だけそれをしようとしたやつがいたんだが、教師にもまともに受けてもらえず、さらにあいつの報復としていじめられていたやつが唯一信頼してた幼馴染の女子生徒がいたらしいのだがそいつをセフレにしていじめられてたやつの心を折って不登校にさせたらしい」


「暴力だと跡が残ってしまうから精神的に・・・か」


「そういうことだ。で、そんな奴に言い寄られた雫がその状態ということだ」


 雫は先輩の話を聞いているうちに、恐怖の為か涙を流していた。

 必死に落ち着かせようとしているが、恐怖の根は深いらしい。


 これでは今日は授業にならないと思ったので、先輩にお礼を言って俺たちは早退することにした。


 去り際に先輩が教えてくれた男の名は俺が衝撃を受けるに足るものだった。


「その男の名は西園寺恭介。西園寺財閥の長男だ」





 


 


 


 


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

陰キャの日常 始龍 @wootang

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ