第206話 上野原合戦
8月29日。
長野、上野原で両軍がついに対面した。
長尾軍本陣にて。
「景虎さん、今回もまたよろしくお願いします。
すみません、俺の手には負えなくて。
はるばる越後から本当にありがとうございます」
そう言って景虎に声をかけたのは、村上義清である。
歳はすでに50を超えているが、歳を全く感じさせない体と雰囲気だ。
大人の余裕とパワフルさを兼ね備えている男であり、筋肉もまだまだ衰えていない。
「いやいや。義清さんのためですから!
申し訳ないとか思わないでください。
ったく、信玄のやつ、どこまでも戦好きで困りますねえ」
「まったくですよ」
「そいえば、鉄砲、大量に仕入れておきましたよ!」
「うわ! それはありがたい。
さすが、越後の大富豪ですな。
これだけの鉄砲を用意できるとは」
「義清さんの戦術には、鉄砲がかかせないと思って。
ほんと、義清さんの鉄砲戦術は見事ですもんね。
野戦では個人戦でしか使われていなかった鉄砲を集団戦に使うなんて、思いもよりませんでした。
あの鉄砲隊の集中砲火は迫力ありましたなぁ」
「景虎さんにそこまで褒められると恥ずかしくなってきました」
そう言って、村上義清は、顔を少し赤らめた。
「いまのところ、信玄の動きは何もありませんな」
「そうですね。
とりあえず、弓隊だけ、出しておきますか。
様子見て、鑓隊も出しましょう。
鉄砲隊は、まだとっておきます」
「それがいいですな」
筆者の戯言
上野原の位置については諸説あります。
上水内郡長沼(長野市)の説が有力とされているみたいですよ。
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