第197話 最後の口づけ
「俺は最後まで闘うよ。
女たちはいまどこにいる?」
落合は、梓の目を真っ直ぐみながら聞いた。
「みんなはね、1番安全な、あの部屋に集まっている。
でも、その部屋を破られるのも時間の問題よね」
「だな。
俺はこれからその女たちが集まっている部屋のところに行って、守るよ」
「ありがとう。
私も一緒に行くわ」
最後に2人は、もう一度抱き合い、口づけをした。
落合は刀を持ちながら、梓は槍を持ちながら、その部屋へ向かった。
途中何人も敵兵に遭遇したが、落合がバシバシ切り捨てたおかげで、なんとか辿り着くことができた。
「殿っ! 姫様っ!」
女、子どもは2人の姿を見て、涙目になりながら、声を上げた。
「待たせたな。
俺は、この部屋を守るために外に出る。
後は、梓に従ってくれ」
そう言って、最後に梓の顔をみて、にっこり笑い、部屋を出ていった。
梓は、声を張り上げる。
「みんな、ここまでついてきてくれてありがとう。
みんなと過ごした時間はとても楽しかった。
今の現状はみんな知ってるよね。
みんなのこと、守れなくてごめん。
敵兵に捕まったら、磔にされるか、首を切られるかのどちらか。
残酷よね。
最後まで、闘うのもいいけど、みんなが斬られていく姿を見るのも嫌。
だから」
梓は一呼吸おいて、静かに言った。
「私は、この崖から身を投げるわ」
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