第193話 落合と梓

 葛山城で、落合は城主として、全体の指揮をとり、梓は主に女たちの指揮をとっていた。


葛山城の廊下で2人は偶然にも会う。


「お、様子はどう?」


梓が落合に話しかける。


「うーん。小田切さんが助けにきてくれたおかげで、士気は上がったけど、客観的に見て、油断はできない状況だな。


水の手は、かなり攻められてるし」


「そうよね。


女の子たちもかなり疲れてるのよね。


まぁ、なんとか


小田切さんが来てからもう大丈夫!


アピールをしまくって、気をつないでいるけどね。


こっちが不利だとわかっちゃったら、どうなることか……」


「だよな。


梓もありがとうな。ほんとうに。


早く景虎様こねぇかな」


「いえいえ。


夫婦だし、家族なんだから。


当たり前でしょ。


越後の方は、雪がやばいらしいからね。


そのせいで、足止めくらってるのかも」


「うわー。雪なー。


ほんと、雪うぜぇ。


積もったら最後。


移動できんよな」


「ほんとに。


子どもたちは、キャッキャ言って、楽しそうだけど」


「だなあ。


早く雪、止まないかなぁ。


雪を一瞬でかく、道具があればいいのになぁ」


「あー。一瞬で雪道がなくなって、道ができる道具?


そんなのあったら、最高ね」


「あぁ」


2人は会話を交わし、ハイタッチをして、手をぎゅっと握り交わした。


目を合わせて、


やってやるぞ!


という力強い目力が見えた。

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