第188話 水の手曲輪

葛山城にて。


「いけっ!


丸太転がし大作戦っ!」


将兵たちは、丸々と太った丸太を手から離した。


手から離しただけで、その丸太は斜面を下るので、徐々にスピードが上がっていく。


「ひやぁ」


一つの丸太に何人も引っかかるので、敵兵たちは、どんどん崩れていった。



「はんっ、楽勝だな」


「山城って、木が大量にあるから、強いよな」


将兵たちは、口々に言っている。



「おいっ!


水の手曲輪に救援きてくれないか!?」


1人の男が飛んで走ってきた。


「水の手曲輪な!


承知!


そっちに送るわ!


水の手曲輪は何としても守らなきゃいけねぇもん!」


水の手曲輪は、葛山城にとって、命の曲輪と言ってもいいくらいの場所。


葛山城は、山城だから、水の補給は、1番近い犀川からしている。


その犀川に1番近い曲輪が、水の手曲輪で、水の補給路になっている。



だから、その曲輪が落とされるということは、水源が断たれるということ。


水がなければ、人間は生きていけない。


葛山城には、雨水を蓄えるところもあるのだが、水が無限にあるわけではない。


「水の手曲輪、絶対守るぞ!!!」


「おぉ!!!」


将兵たちも士気を高めて、必死になる。

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