第185話 馬場美濃守の急襲

弘治3年(1557)2月。


葛山城にて。


雪で上杉軍が出陣できない頃。


葛山城は、牧之島城(まきのしまじょう)の馬場美濃守(ばばみののかみ)から攻められていた。


武田信玄が馬場美濃守に命じたのだった。


「急襲です!


馬場美濃守が大軍を率いて急襲です!」


家来が、葛山城城主である落合に慌てて伝える。


「なに!?


とりあえず、反撃せよ!」


一瞬の間に、葛山城内は、慌ただしくなり、騒がしくなった。


「めちゃ、弓矢飛んでくるし!


急襲とか卑怯やん!」


「やべぇじゃん!


しかも、馬場って、あの武田信玄の家来でしょ!?


どうするの!


急襲されて、手も足も出ない。


籠城するしかないじゃん!


それとも、あたってくだけろで、戦うか!?」



落合の家来は、おろおろしている。


「あたってくだけろは、バツだ。


とりあえず、籠城して、援軍をくるのを待つしかない」


「ですね」


落合の目にも、不安な色が浮かんでいる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る