第181話 梅干し

 その日の夜。


春日山城は、宴会となった。


もちろん、景虎と好花が帰ってきたことを祝して。


「みんな!


俺がいない間、春日山城を守ってくれてありがとうな!


これからも、よろしく!


乾杯!」


景虎の言葉に続いて、みんなも「乾杯!」と言った。


「やっぱり酒には梅干しだな」


景虎の目の前には、梅干しがたくさん置かれている。


「景虎様、食べ過ぎは要注意ですよ?


梅干しは塩分高いんですから」


「定満は、心配症だな。


大丈夫だよ、これくらい」


「いやいや!


塩分の摂りすぎは、体を壊しますから!」


「わかったよぉ。


気をつけるよ」


そう言って、景虎は梅干しをまた一個口に入れた。


「ったく。景虎様は」


定満は、やれやれといった顔で、梅干しの入った皿を景虎からさりげなく遠ざけた。


「お酒、どうぞ」


実乃が景虎に酒をつぐ。


景虎が手にしているのは、杯の全体が朱色染まっている、春日杯だ。


光にあたると、より光沢を増している。


直径が約10センチ、深さが約6.5センチもある漆塗りの美しい杯である。


「景虎様、この度は大変申し訳ありませんでした」


「いやいや。


実乃だけじゃなくて、他にもいろいろ問題があったろ?


それも含めて、仲良くしてほしいなと思っていただけだから。


実乃は、今回の大熊朝秀との戦、大活躍してくれたって聞いたし。


反省もしてるしさ!


これからも励んでくれな!」


「もちろんです!!」


実乃は、景虎とがっしり握手を交わした。





筆者の戯言


上杉謙信は、梅干しが大好物だったらしいですよ。


お酒のおつまみにしていたとか。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る