第169話 諏訪姫の想い
景虎と諏訪姫の飲むペースはどんどん早くなっていき、好花はついていけなくなった。
「ちょっと!
諏訪姫さん!
飲み過ぎじゃないですか!?」
「ふぇ?
だいじょおぶですよぉぉ。
私、お酒好きなんでぇ」
「いやいや。
でろんでろんになってるけど。
まぁ、いいか。
泊まるとこもここだし、問題ないか」
「そうだよぉ。
好花ちゃんは、いいよねぇ。
景虎様とずっと一緒にいれて」
「諏訪姫さんは違うの?」
「そうだよぉ。
所詮、私はね、2番目の女なの。
だからね、信玄とはずっと一緒にはいれないの。
私ね、普段は上原城(うえはらじょう)にいるのね。
川中島の戦いがあるときは、信州の上原城にずっといてくれるんだけど、
川中島の戦いがないときは、甲斐にずっといるから……」
「ええ!!
それは寂しすぎる!
ほとんど会えないじゃん!
辛すぎ」
「そうなの。会いたくても会えないの。
でもね、そう思ってるの、私だけなんだ。
だってね、甲斐には、信玄の奥さんがいるんだもん。
三条の方っていう人でね……。
三条の方が羨ましいよぉ」
そう言って、諏訪姫が好花に抱きついた。
抱きついた瞬間、ふにゃっとなり、好花にもたれる。
「諏訪姫……。
たしかに、会えないのは凄くやだよね。
しかも、甲斐には、奥さんと一緒に暮らしてるなんて!
川中島の戦い、ずっとしてほしいって思っちゃうね!」
「そうなの!
だから、景虎様には感謝してるよ?
川中島の戦いのおかげで、信玄と会えてるんだもん。
ありがとね」
「お、おう。
なんか、複雑な気持ちだな」
「私のことね、
いつも好きだよって言ってくれるんだけどね、
1番じゃないって思うと、悲しい気持ちになるの。
でも、信玄のことが好きだから離れられないの」
「諏訪姫!
かわいすぎる!
今のセリフ聞いたら、信玄さんも飛びついちゃうだろうなぁ。
こんな可愛い子をほうっておくなんて!
信玄はぁ! ったく!」
好花は、抱きついてきた諏訪姫をよしよしして、背中をとんとんした。
「こんど、信玄に話を聞きたいね!
諏訪姫のこと、どう思ってるのか。
景虎、聞けないの?」
「いやぁ。
さすがに、敵将だからな。
難しいな」
「ま、そうだよね。
でもさぁ、このままだと、諏訪姫がずっと寂しい思いしちゃうよね。
なんか、良い方法ないかなぁ」
「ありがと好花ちゃん。
いいの。どうせね、私は1番の女にはなれないから。
わかってる」
「せ、切ない。
こんなに美人さんなのに!
会いたいって、文書こうよ!
そしたら、きてくれるかも!」
「かなぁ。でも、書いてみる」
筆者の戯言
武田信玄の側室、諏訪姫は、上原城にいたらしいです。
上原城は、現在の長野県茅野市にあります。
山城です。そして、
諏訪湖がとーーっても近いです。
目と鼻の先ですね!
というのも、
諏訪総領家の本拠地だったんですね。
武田信玄が諏訪を攻めた際の領主・諏訪頼重の本拠地ということですね。
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