第157話 祈祷

「実乃さんさ、頼まれたら断れないタイプだもんね。


下平のほうには、大熊様がついちゃってるんですよ! だから、実乃様! 私にお力添えをお願いします! っていうようなセリフを上野さんは、泣きながら言って、実乃さんを捕まえたんだろうな」


好花は、そう言うと、景虎は答えた。


「ありえるな。


実乃さん、優しいからな。


あと、大熊さんのことあんまり良く思ってないから、それで火がついちゃったのかもな」



好花と景虎は、関山権現の境内の中にいるがそこは、鬱蒼とした雰囲気があり、静かな空気の中に2人の声が響く。


境内は、かなり広く、社殿も立派である。


殿内中央の厨子には、銅造聖観音菩薩像が安置されている。


その像は、20センチの高さだろうか。小さい像である。



「では、そろそろ祈祷を始めますかね」


関山権現の方がそう声をかけると、2人は、


「お願いします」


と価値を揃えて、目を瞑った。



祈祷が始まった。










筆者の戯言





関山三所大権現は、


◯主尊が関山大権現(銅造聖観音菩薩像)


◯左脇侍が白山大権現


◯右脇侍が新羅大明神



なんですね。で、今行くと、この三体の像が見れます。


しかし、いま、こう思った人いましたよね?


あれ? さっき、一体しかいなかったけど??

どゆこと??


と。



実は、真ん中に安置されている主尊が関山大権現(銅造聖観音菩薩像)は、


古くから祀られていたらしいんです。



で、後から脇尊加えられて三所になったと思われているんですね。


両脇の像はともに江戸時代の作ということなので、戦国時代には、存在しなかったってことですよね。




あと、関山権現という名前について一言。


権現ってなんだよ!


って、思っている方もいると思います。


「権」という文字は「権大納言」などと同じく、「臨時の」、「仮の」という意味なんですね。



だから、仏が仮に神の形を取って現れたことを表しているんだそうです!


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