第152話 時を戻そう

弘治2年(1556年)6月28日、景虎と好花がいなくなり、天室光育が春日山城へ訪れてきたときに戻ります。


「景家さん、あなたも思い当たる節があるのですね?」


「はい」


そう言って、柿崎景家は話し始めた。


「好花さんのことで、助言というか、口出しをしてしまいました。


好花さんって、急に現れたじゃないですか?


しかも、出自が不明ですよね?


そんな謎だらけの女の子と結婚しちゃいましたけど、本当にそれでいいのかって思って。


たしかに、好花さんは、いるだけで、みんな笑顔になるし、優しいし、好きですよ?


怪しい動きもないですし。


でも、どこかで、忍者なのかなとか、スパイなのかなとか思っちゃって。


それを景虎様に言ったらめちゃ怒っちゃって。


ここ、1週間くらい口聞いてなかったんです」


景家は、首を垂れてしょぼんとしている。


「たしかに、景家さんの気持ちもわかるよ。


私もそれに関しては景虎様に景家と同じようなこと言って、怒られたことある」


宇佐美定満は、そう言って、「はぁ」とため息をついた。


「そもそも、未来からくるなんていう、現実では、考えられないことが起きちゃってることが問題なんですよね。


好花さんのことは、みんなが好きだし、家族って思っていることもよくわかる。


だけど、心の隅で、疑ってしまうんですよね」


本庄実乃がそういうと、弥太郎がすかさず、話す。


「俺、あんなに可愛い子を見たことがなくて。


初めて会ったときから、神聖な人のような、そんな雰囲気というか、オーラを感じ取ったんです。


だからこそ、そんな魅力に惹かれて、景虎様が結婚したのも当然のことだと思うし。


未来からきたから、そんな雰囲気を出しているのかなとも思ったし。


でも、証拠がないんすよね。


未来からきたという」


「たしかにな。


てか、弥太郎、おまえ、たまには良いこと言うんだな。


たしかに、弥太郎の言う通りだよ。


未来の人と、思える雰囲気はあるけど、証拠がない」






景家は、深いため息をついてから、こう言った。


「まぁ、ここでこの問題について考えても埒があかねぇ。


とりま、景虎様たちを追いかけるか?」







筆者の戯言


前回は、景虎が出家騒動を起こした理由について、いろんな説をあげました。


コメントやTwitterで、自分ならこう考える!というたくさんの意見をいただきました。


ありがとうございました。


とても勉強になりました。


自分では、考えつかなかった理由もあって、新しい見方を手に入れることができました。


いつもいつも読んでくださり、ありがとうございます!!!

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