第142話 坂戸城
1週間後。
景虎たちは、出産祝いのために坂戸城に訪れていた。
「政景さん!
久しぶりだな!」
「おぉ!
景虎さん!
お久しぶりです!」
景虎と長尾政景は、お互いに固い握手を交わした。
「川中島、おつかれさまでした。
今回は長丁場でしたね」
「まったくな。
そのせいで、出産祝いをすぐにできなくてごめんな」
「とんでもない!
今日ははるばる来てくれてありがとう」
そして、
「綾さんー!
会いたかったですー!」
好花は、景虎の姉である綾に笑顔で駆け寄った。
「好花ちゃん!
私も会いたかったですよ。
元気そうで何より。
なんか、逞しくなった?」
「あー、戦を何度も経験したからかな?」
「もー! こんな可愛い子を戦に連れて行くなんてっ!
景虎に忠告しておくねっ!」
「いやいや。
私が勝手についていきたいって言ったんです。
戦をこの目で見たくて」
「え!?
好花ちゃん。そんな怖い趣味があったの?」
綾は目を丸くしている。
「そんなことはどうでもいいんだけど、さっきからずっと言いたかったんだけど、卯松くん可愛いすぎません??」
綾の腕の中には、まだ一歳にもなっていない卯松が抱かれていた。
みんながドタドタときてうるさいのに、大人しく静かにしている。
「あら、ありがとう。
好花ちゃん、抱いてみる?」
「え? いいんですか?」
「いいよ」
綾は、卯松をそおっと好花の腕の中に移動した。
あったかい体温が好花にじゅわっとうつる。
腕の中にいる赤ちゃんは、うるうるした目で好花をじいっとみている。
「か、かわいい。かわいすぎる。
綾さん、めちゃかわいいですよぉ!」
可愛さに耐えきれなくなった好花は、卯松を綾に返す。
「朝信さん!
卯松くん、めちゃかわいいよ。
もう可愛すぎて、心臓がもたなかった」
好花は、座っている朝信に駆け寄って、この喜びを伝えた。
「みなさんも、卯松を見てやってください」
「いいんですか?」
「是非」
綾の周りに、男たちが集まって、覗いている。
「目がうるうるしててかわいいな」
「腕ぷにぷにやん」
「肌すべすべすぎやろ」
「なんとも愛しいですね」
「癒されますね」
男たちは、卯松の可愛さにうっとりしていた。
数週間前まで戦をしていた人たちとは思えないほど、あったかい雰囲気が漂っていた。
筆者の戯言
坂戸城について、話しますねっ!
新潟県屈指の中世の山城が坂戸城です!
坂戸城は、現在の新潟県南魚沼地域にあったのね。
古来より上田庄(うえだのしょう)があり、鎌倉時代頃には、清和源氏の流れをくむ新田氏一族の勢力下にあって、当時から坂戸山に城郭が築かれていたと推定されているんだって。
その後、南北朝時代(14世紀)、越後の守護上杉氏の家臣であった長尾氏の一族(上田長尾氏)がこの上田庄に入り、領国支配を始めたと伝えられています。
以後、上田長尾氏は守護代長尾氏と並んで越後の国に重きをなし、坂戸城は越後と関東を結ぶ交通路の抑えとして重要な位置を占めました。
1512年、長尾房長が、本格的に坂戸城を築城して、
1551年、房長の子、政景は謙信の姉をめとり、謙信に臣従したのね。
政景は、謙信が関東に出兵した際には、春日山城の留守居役を務めるなど、謙信の重臣だった!
居留守役を任せるなんて、信頼している家臣じゃないとしないよね!
以上、戯言でしたー!
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