第140話 宴会

 景虎の突然の握手会を終えて、一同は春日山城へ久しぶりに帰ってきた。


「おかえりなさい!


好花さぁん!!


寂しかったですよぉ!!」


お華は、目をうるうるさせながら、好花に抱きついた。


「うちも会いたかったぁ!


もう戦疲れたよぉ。


200日も戦場にいるとか、頭おかしくなりそうだった」


みんなは好花の言葉を聞いて苦笑している。



「今日は宴会ですね!


お酒もたくさん用意しておきましたっ!」


「さすが、お華。


やるなぁ」


景虎は嬉しそうだ。






☆宴会にて☆


「今回の勝利に乾杯!」


「乾杯!」


景虎の声に続いて乾杯の声が響き渡った。


「いやー、今回の戦は長かったですな。ほんと、おつかれさまでした」


実乃は、景虎に酒を注ぎながらそう言った。


「そうだな。信玄が思ったより我慢強かったな」


「わかるぅ!


俺なんかさ、我慢できなくて1人で暴れてたもん」


「たしかに。


弥太郎さ、急にいなくなったと思ったら、武田軍の中に飛び込んでいってたもんな。1人で」


「あれは笑ったわ。


弥太郎、武田軍に囲まれてさ。


殺されちゃうかなーと思ったら、傷一つも作らず、爽やかな顔で帰ってきたよな」


「いや、景家さん。傷はあったよ。ほらこれ」


そう言って、弥太郎が裾をめくると、うっすら、擦り傷ができていた。


「いやいや。これは傷と言わないから。こんなの、子どもがそこらへんで転んでできた傷と同じやん」


みんなは、一斉に笑った。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る