第138話 撤退

 閏10月15日、両軍は撤退した。


撤退している道のりにて、齋藤朝信と本庄実乃、柿崎景家の3人は話していた。


柿崎「まさか、信玄から調停の申し出があったとはな」


齋藤「ほんとそれな。噂によると、信玄の陣屋で放火騒ぎがあったらしいぞ」


本庄「放火!?」


齋藤「そうそう。


対陣してから、200日くらい経ったから、我慢の限界がきたんだろう。


信玄の部下が、「やってらんねぇよ!」って言って、火をつけたらしい」


柿崎「あちゃー。


たしかに、今回の戦は長すぎたもんな。


それは怒り狂っちゃうよ。


家族とも会えないしな」


齋藤「そうだよ。


200日も家族に会えないのは辛すぎる」


本庄「ですな。


妻が恋しいですわい」


柿崎「早く子どもらの顔がみたいな」


みんな、家族の顔が早く見たくてうずうずしていた。


疲れているはずだが、越後へ帰る足取りは、みな、軽かった。


きっとそれは、愛する者たちに久々に会える!という気持ちの面が大きいだろう。




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