第129話 葛山城 宴会会場にて

宴会会場にて。


「落合さん! 葛山城をよろしく頼みますよ!」


「景虎様! 任せてください!


俺たちが守り抜きます!


武田には、度々、嫌な思いさせられてきてるんで。


だから、今回の川中島の戦いは、なんとしても、勝ちたいです!」



「そうですね!


俺たちも、北信濃の武将たちのために、全力を尽くしますねっ!」


弥太郎は、落合の目の前に立ち、落合の肩に手を置き、笑顔で答えている。


そんな弥太郎の勢いに、落合は、とまどっていたので、慌てて朝信が弥太郎をとめる。


「おいっ、弥太郎っ!


落合さん、困ってるじゃねーか。


あんま、ぐいぐい、いくなって」


「えー、だって、仲良くなりたかったんだもん」



「落合さん、すみませんね。こいつ、バカなんで。


仲良くしてやってください」


朝信が頭を下げると、落合さんは


「いやいや、こちらこそ、よろしくお願いします!」


と、にこやかに言った。










景虎は、立ち上がると、葛山衆のところに酒を持っていった。



「葛山衆の皆様、この度は、この城を俺に預けてくださって、本当にありがとうございました」


「景虎様!


直々に、お礼を言われるなんて、恐縮です。


景虎様の人柄の良さと、人望の厚さは、噂により聞いていましたから。


そのお方のお願いとあれば、喜んでお受けします。


しかも、こんな立派にリフォームしていただいて。ありがとうございます」



「もちろんのことです。


城主は、落合ですが、葛山衆の皆様には、不憫のないように、十分に言っておきます。


あ、お酒どうぞ」


景虎は、葛山衆に自らお酒をついだ。


「景虎様にお酒をついでもらえるなんて、


ありがたい。


しかも、こんなに美味しいお酒、飲んだ方がありません!」



「このお酒は越後で作られたお酒なんです。


お酒にはこだわっていましてね。


この梅ぼし、お酒にあいますよ。


是非、食べてください」



「あ、ありがとうございます!


いただきます」


景虎と、葛山衆。


身分は違えど、身分など関係ないように、和気あいあいと酒を酌み交わし、話をした。









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