第128話 ビードロ

「好花さん、これよ」


梓は、木の箱を棚から取り出し、好花の前で開けた。


その小さな箱の中には、光に反射してキラキラ光っているものがいくつか入っている。


「ビー玉だ」


「ビー玉?」


好花は、ついビー玉と言ってしまったことに後悔を感じ、慌てて「何もないです!」と言った。


ビードロと梓が言ってたものは、ビー玉のことだったのだ。



「このビードロはね、南蛮からきたらしいの。


前にね、お客としてきた人がお土産にこれをくださってね。


すごく綺麗でしょ」


梓は、ビードロを手の平の上に置いて、ころころした。


「たしかに凄くきれい。


まるで、星空をきゅって集めたみたい」



青や水色を基調とした中に、小さな粒が散らばっていて、宇宙を想像させる。



「これ、好花さんに一つあげる」


「え!? 


いいんですか?」


「うん。


友情の証」



梓は、棚から手のひらに乗るくらいの巾着を取り出し、そこにビードロを一つ入れた。



「梓様、ありがとう。


大切にします」


好花は、とても嬉しそうににこにこした。


その笑顔につられて、梓も、ふふっと笑った。








筆者の戯言


ビー玉の語源について。


広辞苑によると、ビー玉は、ポルトガル語でガラスを意味する「ビードロ」の略とあります。



ビー玉の語源については、いろんな説があるので、調べてみるのも面白いかもしれません。

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