第127話 梓

「葛山城が完成したことだし、


今日は一杯やるか!!」


「おぉ!!!」


景虎の声に、男達は、声を張り上げて叫んだ。


「どうせ、一杯で終わらないですよね?


定満さん」


「まぁ、そうでしょうな。


飲みすぎてたら、好花様が景虎様のこと、止めてくださいね」


「承知しました」


好花と定満は、顔を見合わせて苦笑した。


日は暮れ、辺りは真っ暗になった。


完成した葛山城だけが明るくなっている。


宴会が始まった。



「定満さん、戦中なのに、こんなことしていいの?」


「景虎様にもお考えがあるんですよ。


あえて、宴会をしているという表現の方がいいですかな」


「あえて?」


「はい。


まぁ、難しいことはまた戦で説明しますよ!


今晩は宴会です!


好花様、ほら、向こうに落合治吉様の奥様がいらっしゃいますよ。


話しかけてみては?」


男どもがたくさんいる中で、美しい女が1人いた。


上品な雰囲気が、滲み出ている。



「こんばんは。


落合治吉様の奥さんですよね?


私、長尾景虎のお世話係の好花と申します。


お世話になります」


「あら、あなたが好花さんね。


私は、梓(あずさ)と言います。



かわいいお世話係がいると、こちらで噂になっていたのよ。


噂通り、かわいい。


お世話係にしておくのが勿体ないくらい」


梓の白くて細長い手が


好花のほっぺに触った。


うっとりするような目で、梓は好花を見つめる。


好花は、ドキドキして、顔を赤らめた。


「そんな。恐縮です。


梓様は、美人で大人の女性って感じで、凄く素敵です!」


「そんなに褒められると、照れてしまうわ。


ありがとう。


景虎様も、こんな可愛い子がお世話係だなんて、さぞかし、喜んでいるでしょうね」


「いやー、そんなことないですよ。


私は、ただのお世話係ですから。


仕事を全うするのみです!」


「そのサバサバ感、素敵。


戦場では、男臭いでしょ?


だから、あなたがいて良かったわ。


あなた、ビードロって知ってる?」


「ビードロ?」


「知らないわよね。凄く素敵なものなの。


見せてあげる。


ついてきて」


「はい!」



好花は、金魚のフンのように梓の後ろについていった。










筆者の戯言


落合治吉の家族構成なんですが、文献がなく、わからない状況です。



んー! 悔しい。



すみません。


ですので、梓というのは、わたしが勝手に妄想で作り上げた人物です。



すみません。



もし、落合治吉の家族構成について、知ってるよ!って方がいたら、教えていただきたいです。

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