第126話 落合 治吉

葛山に、葛山城が完成した。


景虎は、高い石の上に立っていて、その前を長尾勢が並んで景虎を見ている。


もちろん、葛山衆も一緒に並んでいる。



「皆の者、よく頑張ってくれた!


ありがとうな!


葛山城の城主を発表する。


城主は……」



皆は、息を呑んだ。



「落合 治吉(はるよし)!」



「はっ!」


1人の男が景虎の前に堂々と出てきた。



「え、だれすか?


この男」


柿崎景家は、ぽかーんとした顔で定満に聞く。


定満は、小声で景家に話す。


「ちょい!


村上義清に仕えていた武将ですよ!


武田信玄が北信濃に侵攻してた時、一緒に戦いましたよ。


一緒に戦ってたとはいえ、話すこともなかったですから、あなたにとっては、初めて見るお方ですね」



「なるほどな。


村上さんの家臣か」


「優しそうな人ですね」


朝信は、落合を見てそう言った。




「葛山城の城主を、


この落合治吉が承りました!


精一杯、励みます!」


落合治吉は、優しそうではあるが、大きな声で堂々としている。


落合の言葉が終わると拍手が起こった。


こうして、葛山城は、武田信玄に対抗する城として、出来上がったのであった。


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