第125話 齋藤朝信と柿崎景家

「朝信さん、俺さ、おかしいと思うことあるんだけど」


「なに?」


齋藤朝信と、柿崎景家も葛山城を作る手伝いをしながら、小声で話していた。


「この葛山に着いた時さ、もうすでに城の基礎は作られていたよな?


既に人が住めそうな場所もあったし。


これって、昔、誰かの城だったん?」


「景家さん。それはな……」


齋藤朝信は、ためらったように、ニヤッとして景家を見る。


「おい、朝信さん!


もったいぶらないで、教えてくれよ」


「わかったよ。


実は、この葛山は、葛山衆っていう人たちのものなんだ」


「え!?


葛山衆ってなに!?」


「葛山衆は、戸隠(とがくし)と飯縄信仰の修験者(しゅげんじゃ)たちのこと」


「修験者って、


経を読んだり、山ごもりや祈祷もする人たちのこと?」


「そーそ!


景家さん、よく知ってたな」


「バカにすんなよな」


「ごめんごめん。


それにね、彼らは、星を見て方角も分かるし、天気予報もできるんだ。


いろんな石や岩の硬さも知ってるし、


その石や岩に、


夏はひびを入れて、冬は水をかけて凍らせ割るといった鉱山技術も取得してる。


薬草の判別もできるらしいよ」



「最強やん。


それで、葛山衆はいまどこに?」



「ほら、景虎様と好花様と一緒にいる人たちが葛山衆だよ」


景虎と好花と葛山衆は、きゃっきゃ、きゃっきゃ、楽しそうに話しながら城作りをしている。


「仲良しかよ。さすが景虎様たちだな」


「今回の戦で、事前に景虎様が直々に葛山衆にお願いして、城を譲ってもらったんだ。


そして、リフォームさせてもらってるんだ。


もちろん、葛山衆には、かなり良い待遇をしたみたいだよ」


「そゆことね。


山城は、1から作るのはかなり大変だもんな。


それを葛山のことを熟知しているプロに助けてもらえるのは、かなり心強いな」


「ほんとだよね」


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