第124話 曲輪、土塁
多くの人が葛山城を完成させるために、一生懸命働いていた。
「好花、ここまでくるのにも疲れただろう。
休んでていいぞ」
景虎は好花に声をかける。
「あのー、お願いがあるんだけど」
好花は、上目遣いで景虎を見た。
「なんだ?」
「あのね、うちも城作りしたいの!」
「えっ!?」
景虎は、ギョッとした目で好花を見る。
「いい?」
「城作りなんて危ないし、やめたほうがいいぞ」
「お願い!」
好花は、うるうるした目で景虎を見つめる。
「しょうがねぇな。
じゃ、お前が危ない目に遭わないように、俺もやるから」
そういうと、スタスタと景虎は歩いていったので、好花も景虎に続く。
「待ってよ〜」
と、走りながらも好花は、景虎と城作りに参加できるということで、にこにこしている。
「え!?
景虎様は、休んでてください!」
職人達は、景虎が手伝いにきたことによって、慌てている。
「や、俺にもやらせてくれ。
ついでに、俺の世話係の好花も手伝うから。
この土、運べばいいか?」
「景虎様に手伝っていただけるとは……!
ありがとうございます!」
城作りをしている職人達は、口を揃えてお礼を言った。
「ここは、なんで山を削っているのですか?」
好花は、職人にすかさず聞く。
「曲輪(くるわ)と呼ばれる平坦面を作るためです」
「あぁ! ここが曲輪になるのね!」
※曲輪というのは、現代で言う屋敷の中の部屋のことですね。
例えば、この曲輪は、城主の部屋
この曲輪は、家臣の部屋
っていう感じかな。
現代なら、リビングとか、キッチンとか、子ども部屋とかに分かれてますよね?
その一つ一つが曲輪ということです。
この曲輪はリビング、この曲輪はキッチン、この曲輪は子ども部屋 てきな?
「それでですね、この削り取った土で、曲輪の周りに土塁(どるい)」を築くんです」
※土塁は、土の壁です。
「へぇ! なるほどね!
土、運ぶのは重いし大変だから、再利用するってことね!
まさに城という文字の通り、土から成るものですね!」
好花も土を運び、曲輪の周りに土の壁である土塁をつくった。
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