第120話 北条高広

 長尾軍の隊旗である、「毘」が書かれた旗がずらーっと戦場に並んだ。


諸将が一本ずつ持っているので、かなりの数になる。



景虎は、堂々とした様子で馬にのり、北条高広の様子を伺っている。



「俺たちと北条が争っている間、武田は川中島へ侵攻してくるはず。


北条との戦は早めに決着せねばならんな」


「そうですな」


「よし。


降伏すれば、すべてなかったことにしてあげるか」


「優しいですなぁ。景虎様は」


「定満、身内同士で争っても何もないからな」


「その通りでございます」


「では、北条に伝えよ」


「はっ!」




上杉謙信の優しさもあって、戦はすぐに終結した。


(戦のシーン見たかった方すみませんね。


このすぐ次の『第二次川中島合戦』で


たっぷりお届けしますから!!)



  






春日山城にて。



「北条高広。


武田にそそのかされるとは何事だ」


「申し訳ありませんでした。


不甲斐ないです。



許していただけるとは思っていません」



北条は、汗がだらだら出ていて、かなり動揺している様子だ。


おろおろしている感じがよく伝わってくる。


「高広、俺はお前を許す」


「え?」


「その代わり、次の戦で必ず武功をあげよ」



「わ、わかりましたっ!」


北条は、何回もぺこぺこして頭を下げている。





そんな中、バタバタと走って景虎たちへ向かってくる者がいた。


宇佐美定満だ。


「景虎様ー!


武田信玄、川中島に出陣したとの模様っ!」


「ようやく、きたか。


高広、頼んだぞ」



「承知しました。


全力で、励む所存です!」

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