第88話 辻が花
藤の花が生き生きと描かれている染織物の前で、好花と景虎が話していると店から店員が出てきた。
「この染織物は、『辻が花』という染色技法なんですよ。
かなり人気のものとなっております。
絞り染めを基調として、描き絵や刺繍などを併用したものなんです」
「この藤の花びらの周りは、染められずに白くなってますよね?
どうやって作っているんですか?」
「これは、まず生地に下絵を描くんですね。で、その下絵に沿って生地を糸で縫います。
で、その生地を漬けて絞ると、その縫ったところが色がつかず、色の境目になるというわけなんです。
そうして、この色がつかない白い部分ができるんですよ」
「なるほど。
じゃあ、この藤の花のください」
「かしこまりました」
「え!?
いいの?
こんなに高いのに」
好花はびっくりして、景虎をみる。
「堺に行った記念にな!」
「ありがと」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます