第75話 短刀
荒れ果てた京を見て、近衛晴嗣以外の一同は、愕然としていた。
「なんか、変な輩に襲われてもおかしくないですね」
本庄実乃は、苦笑する。
「だな。好花、一応の備えとして、お前も護身用の短刀を持っておけ。
そこらで買うぞ」
「う、うん」
店主が1人で、その店主の目の前に短刀が並べられている。
暗い路地の中にあるお店。
祭りの時の出店みたいな感じだ。
「好花、好きな短刀選びな」
好花は、初めて短刀を買うのでドキドキしていた。
刀の刃は、どれがいいかよくわからんから、柄(つか)と呼ばれる刀身を握る為の部分の柄で選ぶことにした。
「これにする」
好花が静かに言い放ち、指をさした短刀の柄は、濃い紫の刺繍が全体的に施してあった。
その刺繍は、ぐるぐると綺麗に巻かせているのだが、ダイヤが10個ほど浮かび上がるように巻かせている。
そのダイヤの中は、白い生地なのだが、その生地の上にキラリと光る金や銀の装飾が、一つずつ置かれている。
刀身と柄の間に装着されている部分、「鍔(つば)」と言うが、その模様は、花が散りばめられている。
黒い生地の上に白い刺繍でいろんな花が刻まれている。
刀をおさめるところは、綺麗な黒でムラなく塗られている。
「好花が好きな紫の短刀か!
いいやん!」
景虎は、そう言った後、店主に「これ、ください」と言ってお金を払った。
「ほんとだっ!
その短刀さ、お花がたくさん散りばめられているじゃん!
かっこいいし、かわいいの見つけたねっ!
好花ちゃん!」
鬼小島弥太郎は、好花の肩をぽんぽんと嬉しそうに叩く。
こうして、好花は、短刀を手に入れたのだった。
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