第74話 京入り

 朝日が部屋に入り、1日が始まる。


「景虎殿、お気をつけて行ってきてくださいね」


「義藤っ! 俺に任せてくれ!


この近衛晴嗣が、景虎殿をお守りするからさ!」


景虎一行の案内人として、近衛晴嗣が先導することになったのだ。


「ま、越後の鬼、鬼小島弥太郎もいることだし、大丈夫だろう」



「では、行ってくるぞ」


景虎は、義藤たちを見渡す。


「いってらっしゃい!」










京に景虎一行がつくと、景虎は思わず呟いた。



「え、これが京なのか?」



景虎がびっくりするのも無理はない。


都というキラキラとした輝かしい場所ではなく、荒れ果てた場所になっていた。


建物は至る所が壊れ、ぼろぼろだった。


人の気配も薄く、野垂れ死にそうな人もいる。


まるで、スラム街のようだった。


「応仁の乱より100年が経った今。


それほどの影響が京にあったんだね」


好花も愕然とする。



かつての華々しい都は、なくなっていた。

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