第73話 城攻めごっこ

 景虎と好花は布団を畳の上にしいて、横になった。


「あー! 疲れたぁ。


もう動けない」


好花は、大の字になって、布団に寝転ぶ。


「越後からよく頑張ったよ。


遠かったもんな」


景虎は、好花の頭をぽんぽんした。



「景虎の腕ってさ、萌えるよね」


好花は景虎の腕を触りながら言った。


「なんやそれ。


どんなとこが?」


「んーっと、この筋肉質なところとか、筋張ってるところとか、血管見えるとことか」


「ま、戦に勝つために鍛えてるからな。


毎日筋トレしてるおかげだな」


「さすが、毘沙門天の化身」


「おまえさ、それ若干バカにしてるよな」


「バカにしてないよぉ」


「出ました。バカにしてる顔。どうせ、毘沙門天の化身とか何言ってんだよって思ってるだろ」


好花は、ニヤリとして、景虎を見る。


「毘沙門天の化身とか叫んでないとな、みんなついてこないんだよ」


「でもさ、景虎はさ、戦めちゃ強いから本当に毘沙門天みたいだよね。毘沙門天って、 戦いや勝利の神様なんでしょ?」


「そうだな。


戦強いというかさ、俺小さい頃から城のミニチュアで城攻めごっこしてたから、なんとなく戦の勝ち方みたいなのが分かるんだよな」


「え!?


城攻めごっこ!?」


好花は、景虎の腕枕に寄りかかりながら、景虎をじっと見た。


「うん。なんか悪い?」


「いやー、普通の男の子は、そんな遊びする子いないと思う」


好花は、苦笑している。


「またバカにしたな!」


景虎は好花のお腹をこちょこちょした。


「やめてよー」と言いながら、好花も景虎も笑っている。

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