第32話 二列行進
7月。
「武蔵(むさし)の北河辺・矢嶋(埼玉県深谷市矢嶋)に越後軍の 濫妨狼藉(らんぼうろうぜき)停止を厳命する!」
というような、禁制を景虎は発した。
戦では、食料などが無くなるため、戦に行く途中などの村を濫妨し、食料などを奪うということが多くある。
しかし、景虎は、そうはせず濫妨狼藉を禁止した。
「そういうところにも、景虎の優しさ出てるよねぇ」
と、好花はつぶやく。
謙信は、兵を集めて、出発式を始めた。
「関東へ参るぞ!!!」
「おう!!!」
2000人くらいの兵が返事をした。
「みなのもの!
出陣といえば……?」
みんなはニヤリとした。
「そうだっ!
これだっ!」
景虎は、白いものを持って、みんなに見えるように掲げた。
「餅食べて、力つけるぞっ!」
「おう!!!」
そう。景虎の手には、餅が握られていた。
こうして、全軍に餅が配られた。
みんなは、嬉しそうに餅を食べて、にこにこしている。
どうも、長尾軍は、出陣の前に餅を食べて、力づけ、兵たちを奮いたたせていたようだ。
「餅、めちゃうまい」
好花も餅にかぶりついて、美味しそうに食べている。
そして、餅を食べて活気ついた景虎たちは、全軍を2列行進で突き進んだ。
この中には、好花もいる。
普通、武将の妻が戦にいくのは、ありえないことだが、
好花が
「行きたい行きたい!!」
と、景虎に何度もすがってきたので、行くことになった。
景虎の世話人として。
景虎の率いる2列の行進は、どんどん進んでいった。
こうして、景虎の軍勢は、関東へ向かっていった。
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