第26話 御館

「なんなんすかー? あいつ、関東管領のくせに弱気すぎっすよねー? いきなり関東管領職を譲るって言われても、こっちの都合も考えろって感じだよな」


鬼小島弥太郎は、嫌そうな顔をして謙信に話している。


「まぁまぁ。上杉様方は、この大雪の中、越後まで来たのじゃ。


弱気になるのも仕方がない」


「景虎様、どうするおつもりですか?」


宇佐美は、謙信に聞く。


「うん。とりあえず、上杉憲政様のために、館を建てようと思う」



「えええ!!! わざわざ屋敷を!?」


柿崎景家は、驚きを隠せず、目を丸くしている。


「うん。御館という屋敷を建てる」


「景虎様。優しすぎません!?


そこまでしなくても……」


好花は、思った。なんて、面倒見の良いお殿様なんだろうと。


越後虎、上杉謙信は、優しさの塊であった。






「景虎様ー!!!」


謙信の兄、晴景のところにいる家臣が慌てたように、謙信の前に現れた。


「どした。何があった」


「そ、それが、晴景様が……。










倒れました」

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