第27話 病

「兄上! 大丈夫か!?」


「景虎〜。この大雪の中、わざわざ来てくれたん?」


「当たり前よ。好花も見舞いにきたぞ」


「好花ちゃん! ありがとうね」


フランクな話し方は相変わらずで、話しやすい雰囲気を醸し出している。


しかし、顔色は悪い。


目の下にはクマができてるし、ほっぺたは痩せこけている。


寝たきりの晴景は、何歳か老けたように思えた。


「いやー、熱があがっちゃってさ。起きれないの。うけるよね」


「心配だわ。鼓、うちすぎたんじゃね?」


「かもな笑」


「まだ死ぬなよ。


俺はこれから、関東に行かなきゃいけん。


だから、関東に行ってる間は、絶対に生きてろよ」


「おう。頑張るわ」


あのチャーミングな笑顔。


彼が平安時代に貴族として生まれたら、才能に恵まれた者として、みんなから尊敬されてたんだろうな。


しかし、世は戦国時代。


いくら、鼓をうつのが上手くても。


いくら、歌を作るのが上手でも


役に立たない。




でも、この人柄だけは、みんなを笑顔にさせる。


早く治ってほしい。



好花はそう思っていた。


にしても、晴景さんがこんなに大変な時に上杉憲政がくるなんて。


ほんと、腹ただしいわと思う好花であった。

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