第25話 譲るのか!?
「景虎様。上杉様が景虎様にお話したいことがあると!」
「えぇ。もっとゆっくり休んでいればよいのに。なんだろな。話って」
謙信が渋々広間に向かうと
上杉憲政が既に座っていた。
「景虎殿。私に代わって関東管領職を継いでくれんか? そして、北条氏康を倒してくれぬか?」
「はい!?
関東管領職を譲るって……」
宇佐美定満は、驚きを隠せない。
謙信は言う。
「落ち着いて考えてください。いくら、北条に追われているからといって、そこまでなさらなくても。
一緒に関東管領職に返り咲くやり方を考えましょう」
「や、もう俺にはできん。昨日見せた上杉家の文書全部あげるから。頼む。お願い」
憲政は弱気だ。
「いくら、景虎様でも。越後と関東の両方を治めるなんてこと……」
本庄実乃は、不安そうな顔だ。
謙信は、やれやれという顔をしている。
「とりあえず、頭はお上げください。
少し、考えさせてください」
「ちなみに、上杉様にはお子さんがいませんでしたか?」
「います。10歳です。
いま、龍若丸は、安保泰広(あぼ やすひろ)に預けて、御嶽(みたけ)という山奥の小さな山城に隠してある。
しかし、それも見つかるのも時間の問題。
どうか、景虎様、よろしくお願いします」
「それ……早く対処しないと取り返しのつかないことになりますよ?」
「は、はぁ」
憲政は、なんとも頼りない声を出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます