第21話 上杉憲政の訪問

 雪が降る季節になった。


新潟は、雪深く辺りは深々と積もっている。


去年の冬、新潟県上越市高田地区では、豪雪に見舞われた。


24時間降雪量が現在の観測態勢となった1998年以降、最高の103センチを観測した。


1時間で、103センチ雪が降るという状況を皆さんは想像出来るだろうか?


車は、動けなくなり、大通りなのに立ち往生が起きた。



そのせいで、コンビニ、スーパーなどは、輸送するトラックがこなくなり、食料不足に陥った。



除雪機がある時代でもこんなに大変なのだから、ましてや戦国時代で大雪が降ったら大変だろう。






戦国時代、春日山城にて



「今年は、大雪ですなぁ。雪が凄くて、外を歩くことができませんよ」


「ほんとだな。でも、これで春日山城を攻めてくる輩は、いないな」


大雪の年だと、春日山城を登るなど絶対できなくなるから、侵略の恐れはないから、みんな安心している。


「景虎様ー!!! 


大変なことが起きたよ!」


鬼小島弥太郎が叫びながら近づいてきた。


「何事だ。騒がしいな」


「そ、それが、関東管領の上杉憲政(のりまさ)が山伏の格好をして逃げてきたんだよ!」



「え? え? どこに?」


「ここ、春日山城に」


「えええー!!! そんなことあるかい!」


「それが本当なんですぅ!」


一同が顔を見合わせる。そして、唖然とする。


関東管領という高貴な人物である上杉憲政の訪問は、皆を驚かせた。



管領職は、関東の公方を補佐する重要な役職であり、景虎の越後守護代よりもはるかに上の重要な職であったからだ。


んーっと、今に例えるとね、



東京都知事、埼玉県知事、千葉県知事、

神奈川県知事、茨城県知事、群馬県知事、栃木県知事をまとめる役割が関東管領職って感じかな。


まぁ、その関東知事みたいな人が新潟県知事に助けを求めにきたって感じかな。


しかも、長尾景虎(後の上杉謙信)と上杉憲政は一度も会ったことないというね。


「景虎様ー! どうするんですか!?」


「よし、彼を通せ!」






「よくぞ、この大雪の中、春日山城まで無事に辿り着かれました上杉様。


それがしが越後守護代、長尾景虎にございます」


謙信は、上杉憲政の前でも、毅然とした態度で挨拶した。


さっきまで慌てていた景虎とは全く違う雰囲気。



さすが、景虎。かっこいいなぁと好花は思った。


この時、好花は、上杉憲政を一目見たくて、謙信にお願いのお願いを重ね、なんとか、端っこに座ることができた。



上杉憲政たちは、吹雪の中来たので、服も顔も体も汚れている。


というか、全身びしょびしょ。


髪は、かなり乱れている。


この人が関東管領職の上杉憲政だとは、皆が思えないほどの落ちぶれ状態だった。

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