第4話 本庄実乃

「殿ー! 今年も青苧がよく売れていると報告がありましたー!」


 元気よく飛び込んできたのは、謙信より歳が上そうな男。


ちょっと顔にシワがあって、今まで苦労してきてそうな。


でも、明るさで年上感をあまり出していない男。


しっかりしてそうな優しそうな男。まさか……本庄実乃(さねより)!?


「実乃! それはよくやった! これで財源も確保できるな!」


 やっぱり本庄実乃だ。


実乃は、長尾家家臣で栃尾城主だ。


栃尾城は、新潟県長岡市にある城ね。


現在のね、長岡市はね、長岡花火が有名ですねっ!


間近で見る長岡花火は、最高すぎるから、

見たことない人は是非お越しください!!



時を戻そう。



春日山城に比べれば規模は小さいけれど、


この栃尾城は標高228メートルの舞鶴山に築かれた山城である。


春日山城も山城でしたねっ!


その城の城主であり、謙信の兄、上杉晴景(はるかげ)の側近の1人であったのが、本庄実乃(さねより)。


晴景は、まだまだ生きてるんだけど、わけあって、景虎のところへきています。


晴景の代より長尾家に仕えていてね、人生最期の日まで謙信を支えた、側近中の側近。


「殿! この女は誰ですか!? 部屋に女がいるとは何事ですか!?」


実乃はかなり驚いている。まぁ、こっちも驚いているんですが。


「まぁ、そう大声を出すな。


この女は好花(このか)というそうだ。


俺がこの部屋で書物を読んでたら突然天井から落ちてきたのだ。


信じられんと思うが。で、いま、目が覚めるまで寝かせていたのだ」


「そういうことでしたか」


 意外にもあっさり受け入れていたのでびっくりした。


「怪しい者ではないのですね?」


「まぁ、服装は怪しいがたぶん大丈夫だろう。俺の勘がそう言っている」


「殿の勘がそうなら大丈夫でしょう」


いや、謙信の勘、信用しすぎでしょ!と突っ込みたくなった。



「そこの好花さんと言ったかな?


景虎様は、勘がするどいのですよ?


少しでも変なことをしたら、斬られますからね?


ご承知おきください」



「おい。実乃。変なことを言って怖がらせるな」



「はっ! 申し訳ありませんでした」


たしかにさっき、首元を斬られかけているからなーと好花は心の中で思い、首をすくめた。



筆者の戯言


本庄実乃について。


景虎が14歳のときのことです。


兄・晴景に代わって越後における国人衆の反乱鎮圧に赴いた時は、その補佐役として功績を挙げたんだって。



晴景は、体が弱かったからね。


だから、代わりに景虎が行ったんだね。


景虎の若き頃の軍学の師であり、その成長に大きく貢献したと言われているんですよ。


重臣として、活躍した実乃。


謙信からの信任は厚く、直江景綱と共に側近の一人として絶大な権力を与えられていたそうです。



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