第21話 ミーシャ 振られた腹いせに告白させる
◆ミーシャ視点
「ミーシャ…その、恋人役ってどういうことなの?」
「あら、そのままの意味だけど。」
「僕には奥様がいるから…必要無いよ。」
「あはは。その奥様に頼まれたんだよ?
まだ、納得できないと思うけど、しばらく我慢して欲しいな。」
そう言って、彼と手を繋ぐ。
今日からは指を絡めて恋人繋ぎ…。
「えっ…いや、その…」
もう!ナユタ、そんなに照れないでよ…。
私まで変に意識しちゃうから。
リオナ様にはみんなの前でも抱き付いてる癖に…
「ふふ、ねぇ、ナユタ。
私もその…彼氏とかいたこと無いから…変に意識しちゃって…。」
私の顔が熱い。
耳まで真っ赤になってる、と思う…。
「いや、その…だから…」
「ねぇ、2人だけの時でいいから…恋人役の練習に付き合ってくれない…かな?」
「………。」
ちょっと。ナユタ。
ねぇ、真っ赤になって固まらないで。
「ねぇ…ナユタ。聞いてる?」
「ゴクッ…。」
「何とか…言ってよ。」
「…ミーシャ。
やっぱりダメだよ…こんなの。
僕には奥様がいるから…その、ごめん。」
もう!人が勇気を振り絞って言ったのに
振られたみたいじゃない。
あぁ、振られてるのか…。
そう思ったら…
あれ?涙がポロポロ溢れて止まらなくなって…
「ナユタの馬鹿…。」
「ミーシャ…」
私は居たたまれなくなって、部屋まで走って帰った。
何か1人で喜んでた私が馬鹿みたいじゃない。
「ナユタの馬鹿…グスッ…ナユタの馬鹿…グスッ…」
何故か涙が止まってくれない…。
30分後…
リオナ様に連れられたナユタが シュン…としながら
私の部屋にやってきた。
「ミーシャ、さっきはごめんなさい。
あの…恋人役の練習…お願いしても…」
「嫌よ。」
「えっ…」
ナユタがリオナ様の方を見ながらオロオロしだした。
もう!私はあんなに悲しんだのに。
「ミーシャ、そう言わずにお願い!」
「嫌よ。」
「ミーシャ、ごめんってば…」
「ふふふ、ナユタ。
ミーシャが許してくれるまで、私もナユタには会わないからね。」
「そんな…」
そう言って、リオナ様が部屋に戻っていく。
またリオナ様にばっかり!
「ミーシャ…本当にごめんなさい。」
「許して欲しいなら…私にも告白して…(ボソッ)」
「えっ…」
ふふ、悔しいから、ナユタも困らせてあげる。
ちゃんと私の方も見てよ!
「恋人役の練習と思って、私にも告白して。」
「それは…」
「してくれないなら、許さない。」
「ぁぅ…」
そんな困った顔してもダメだから。
「してくれないなら帰って。」
「いや…だって…」
「練習もできないなら、もう帰って。」
「あの…ミーシャさん、付き合って下さい。」
「嫌よ。」
「えっ…せっかく言ったのに…。」
「私のどこが好きか、ちゃんと言って。」
「ミーシャさんの事、ずっと綺麗な人だと思ってました。
付き合って下さい。」
ふふ、私のこと、綺麗だって思ってくれてるんだ。
「嫌よ。」
「えっ…なんで?」
「言わされてる感がすごいから。
これじゃ、付き合いたいって思えない。」
「そんな…どうしたら?」
私は彼との距離を20cmぐらいまで縮める。
彼の目をじっと見つめて私は言う。
「ねぇ、ナユタ。
しっかりと私の目を見てゆっくり言って、ね。」
「ぁ…ぁぅ…」
ふふ、やった!
ナユタが顔を赤くして困ってる。
「ミーシャ…その。
いつも綺麗だと思ってたけど…」
「うん。」
「さっき、恋人役の練習をお願いされた時
その…とってもミーシャが可愛くて見とれてしまって…」
「うん!」
「一緒にいたいって思いました。
好きです…その、付き合って下さい。」
「ナユタ、抱きしめて。」
「えっ…」
「早く!」
「はい!」
ナユタがぎこちなく私を抱きしめる。
「やっと私の方を見てくれたね。
大切にしてね?❤️」
「えっ…」
「してね?」
「はい…。」
あはは、ダメ出ししたい所はいくつもあるけど
今日はこの辺で許してあげよう。
ちゃんと自分の言葉で告白してくれたし。
「ふーん。ナユタは私が可愛くて見とれてくれたんだ。」
「いや、それは練習で…あって。」
「あはは、そういうことにしといてあげる。
今日の練習はこの辺で終わりにしよう?
明日はダンジョンで泊まりだから、次の練習は明後日だからね。」
「えっ…明後日も?…ちょっと心臓に悪いから、できれば…欠席で。。。」
「ふふ、欠席は認めません。
明後日はもっとドキドキさせてくれるよね?」
「ヒイッ…。」
こうして、ナユタの気持ちはミーシャに揺さぶられていく。
リオナとミーシャ。
この2人にナユタが勝てる日は来ない気がする。。。
「あっ…。肝心の打ち合わせを忘れてたね。。。」
「ホントに。打ち合わせどころじゃなかったから。」
「あはは。誰のせいかしら?」
「えっ…僕のせいなの?」
「ふふ、ナユタしかいないでしょ。」
「うぅ…なんか理不尽なんですけど。」
「何か言ったかしら?」
「いえ。何でもございません。。。」
あはは。ちょっとした掛け合いが楽しい。
こんな日が続けばいいな。
「で、肝心の話だけど、ナユタは中級職はどの職を考えているの?」
「『魔導師』一択かなって考えてるよ。
魔法の種類だけは使えるから、MPと魔力を優先した方がいいと思って。」
「うん、それでいいと思う。
ダンジョンでは、できるだけ【火魔法】を使って、そっちのスキルをしばらく伸ばして欲しい。」
「うん。分かった。」
「あと、ナユタのスキルを全部教えて欲しいの。
奥様からも許可はもらってるから。」
「ちょっと!14個もあるじゃない!
何それ?おかしいでしょ。」
「いや、いつの間にか…使えるようになってて。。。」
「へぇぇぇ、いつの間にか、ね。」
まだ、さすがに秘密については教えてくれないか。
リオナ様にも言ってないみたいだし。
「このことはみんなには内緒にしてて欲しい。
変に勘繰られたくないし。」
「えぇ、2人だけの秘密ね。
それで伸ばしておきたいスキルなんだけど…」
ミーシャという優秀な相談役を得て、ナユタはこれから大きく伸びていくことになる。
ミーシャは半年後に向け、今回の総当たり戦の優勝者、打倒ナナミを見据えて動いていた。
恋する少年が奥様に捧げる成長譚 彩都と @saitoto
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