第2話 シスターと4人の少年隊
私は女性だ。席に座った際足が床につかずプランプラン。この状態からして私は幼い子どもで違いない。おそらく7歳くらい(またはそれ以下)だと推測する。
「あの女性が教会に入るとどうなるんですか?」
もう不安で仕方ない。さっきまで居心地の良かった賛美歌ですら私の死のロードを促す行進曲のようにすら聞こえてくる。
「うーん…どうなると思いますか?(ニコッ)」
ヒェッ!何だその表情は!開始三秒で見せたあの天使の笑顔はどこへ行ったの!?
「分かりません。教えてください。」
「そうですね。実は私も知らないんです。神に近い存在、または神のみぞ知るセカイでしょうか。(ニコッ)」
「あはは…」
結局何が起こるか分からないってことですか!?それじゃあ私この賛美歌中に無事死亡なんてこともあり得るの?罰せられるの?また死ぬの!?さっき転生したばっかりなのにサードライフ開幕しちゃうの!?今世まだ何も楽しめてませんけど!
長髪男性の性格はだいたい分かってきた。この人は私のことをからかっている。というより私の一喜一憂する様を見て面白がっている。敬語で上品さの印象があるから尚の事酷い。私の他に何度この笑顔に騙された人がいるのか想像に固くない。
そうも会話をしていると賛美歌も終盤らしく何やら皆席を一斉に立つ。長髪男性も私をヒョイッと席から抱きかかえ赤ん坊でも抱くように抱えて皆の並ぶ列に向かった。
「これから何をするんですか」
「教会の神官様に神のお導きの三楽章を頂くんです。」
三楽章とは何だろう。とは思ったけどもう転生してから頭がまわらないので考えることをやめた。そして教会の日曜日の日も終わり長髪男性は私を抱えたまま教会の敷地を出た。
結局私には災いは怒らなかった。女性が入れないというのは何かのはったりなのかもしれない。
宗教とは国をうまく動かくためや国民を利用するのに使われた歴史もあるくらいだ。女性が入れないのは嘘というのも信憑性があるのは今日の私の教会参加の件で濃厚である。
「そろそろ今日の少年隊が裏口から出てくるので待って一緒に帰りましょう。」
「分かりました。」
するとゾロゾロとしばらくして裏口から一人二人と出てきた。全員で4人。少年隊といっても見た目は18歳〜20歳だろうか。少年とは言えない年齢である。
「みんなお勤めご苦労様」
すると皆出口から出るなりシスターに抱きかかえられる私を凝視する。やめてください。私は珍獣ではありません。ただの転生者です。
「シスターこの子どうしたんですか」
まず私の近くによって来たのは短髪の黒髪で、目がサファイアのように輝いた瞳で私の目を見つめる。私の顔を覗き込む際に左耳にかけられた髪に付けられた銀細工がキラリと光る。艷やかな黒髪に星屑のような銀細工とはなかなか洒落たものを付けている。
「拾ったんだ。ちょうど道端に落ちていてね。(ニコッ)」
なんて言い方だ!いや、間違ってはいないけどそれだと犬や猫を拾ったみたいじゃないか!
「今度は子供ですか…。犬も猫もいるんです。簡単に拾ってばかりいてはいけません。誘拐と間違われます。本当に捨て子なんですか?」
「捨て子に違いないですよ。家が分からないみたいなのでうちに来てもらうことにしたんです。今日はこの子の歓迎会ですよ!えーっと…」
そう言うとシスターは私に助けを求めるような可愛い目で見てくる。何だこのシスターは。物腰柔らかな印象かと思いきや裏をチラつかせる性格でかつ、そんな目もできるのか…!!シスターマジヤバイ…
「なんですか?そんな助けを求められても困ります」
「うーん…そういえば貴方の名前をうかがっていなかったと思いましてね」
「あ、」
そういえばそうだ。でもどうしよう。このまま本名を言ってしまおうか迷うな。せっかくのセカンドライフだし、それにヨーロッパな感じの雰囲気だから名前がいいかな
「ベルです」
「よし、じゃあベル君の歓迎会の準備をしましょう。あ、私の名前もまだでしたね。私はシスターのムルです。これからよろしくお願いしますね。」
長髪男性の名前はムルだった。そういえばそうだ聞いていなかった。なーんて呑気に思ってたら今度は奥からもう一人楽しそうに近づいてきた
「なになにぃ〜この子が今日から俺らのところに来んの?ふーん」
オレンジ髪でエメラレルド色の瞳は私の頭からつま先までジロジロと舐めるように見てくる。初対面に対して失礼な人だな。
「可愛いね。将来絶対に美人になるよ!シスターもそう思ったから拾ったんじゃないの?」
「そんなこと考えてませんよ。しかしそうですね。全員強制の参加ではありませんが違う少年隊に入ってほしいとは思ってますよ」
うん?そんな話は聞いていませんよシスター。勝手に話を進めないでください。音痴ではないけれど私あんなきれいに歌えませんからね?
全く好きに言ってくれちゃってと呆れていると今度は紫の紫苑のような髪をしたこれまた髪がサラサラでセンター分けの瞳が深い紫のようで色気を出した胸元の青年が出てきた。
「そんなに期待されたらこの子も可哀想だろ。ほら大丈夫か?こっち来い」
そう言って青年はシスターに抱えられた私を軽いなと言ってヒョイッと持ち上げて抱きかかえて背中をポンポンとしてあやした。22歳恋愛未経験の私からするとなんとも複雑な感情だ。とりあえず胸元は閉じていただきたいです。
「皆自己紹介をしていないじゃないか。この子だって急に知らない顔がいっぱい現れて困惑してるよ。こんにちは。俺はニース。よろしくな」
ニースはワインレッドの髪のくせ毛で藍色の瞳をしている。
ちなみに黒髪で銀細工髪飾りの青年がジーク。
オレンジ髪のチャラついたオラン。
金髪長髪の笑顔が怖いシスターのムル。
紫髪でセンター分け色気むんむんのシオン。
赤髪のまとめ役のお兄ちゃんなニース。
少年隊はいくつか年齢ごとにチームを組んでいるらしく私も少年隊を組む場合は同年代の子で組まなければならないらしい。ならば私は同年代の友達なんていらない。なぜなら歌いたくないからだ。そう思いながら今日の帰るべき家へとみんなで帰った。
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