その命を、忘れないで

「俺は……間違ったのか?」

剣戟の中で、彼はそう問いかけた。

「そうかも、しれません。アイツの言葉を借りるなら、あなたってもう少し素直だったらしいじゃないですか」

「そうか……そうなのか……」

泣き言のように、繰り返しながら。

死闘は続いていた。

「俺は、間違っていると。そう認めなきゃいけない時が来たのかもな」

「……分かりません」

「分かれよ、そこはさ」

最後の一撃、と言わんばかりに。

男は、突きの一手にでる。

「あぁ、なんで知らなかったんだろう。世界はこんなに絶望的で、美しいだなんて」

それが、悪人の最期の言葉だったらしい。

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端編集~永劫と膨大のデータ~ 夏眼第十三号機 @natume13th

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