その日僕は運命の出会いをする
菊千智大
第1話 誕生の日
ある嵐の夜その不吉な夜に生まれた一人の男の子がいた、それはこれからな運命が壮絶になると暗示させるほどだった。
「あなた元気な男の子よ、この子はどんな子に成長するのかしら楽しみだわ」
そっと赤子を抱き上げ微笑む彼女はカルナ=シルフィード生まれてきた赤子の母親である。
そしてっそっとカルナのそばで涙を流しているのがバルド=シルフィード、その子の父親である。
「あなたそれでこの子の名前はもう決めたの」そう問いかけるカルナに対しバルドは答えた。
「アレン、この子の名前はアレン=シルフィード私たちの愛する息子だよ」
カルナはバルドが涙とともに見せた不敵な笑みが少し恐ろしく感じられた。
アレンが生まれる三年前バルドは自分の領地から集めた税収でギャンブルをしていたその時に大負けをしてありえないほどの1億リル借金を抱えていたのだ。そのときバルドに奴隷商人が商談を持ちかけていた。
「あなたに子供ができたら私が買い取りましょう男の子なら3億リル女の子なら2億リルで買いましょう。」
バルドは何を馬鹿げたことをといいそうになったが、酒とギャンブルに負けたストレスで冷静な判断ができなくなっており、
「わかった」と一言で変えしてしまった。
そしてバルドは魔法契約書にサインをして前金の1億リルを貰いその場をあとにしたのだった。
カルナは今日は、息子のアレンを抱きかかえ庭をゆっくり歩いていた。はその日、夫のバルドを訪ねてきたお客がいたので、息子が泣いてお客様に失礼の内容にするためであった、しかし、その本質は違っていた。カルナは本能で感じてしまったのだ。その客が夫と同じように不敵な笑みを浮かべていたことにその笑顔に恐怖を感じてしまったことに。
「バルドさん息子さんの無事な誕生おめでとう御座います。」
「ああ、ありがとう。」
「それで、いつ息子をそちらに引き渡したら良いのだ。」
「まだ気が早いですよ、今日は息子さんになんの障害がないか確認しに来ただけですよ。」
「引き渡しは息子さんが五歳の誕生日の夜私の部下たちが頂きに参りますよ。それまで楽し く家族で楽しく過ごしてくださいね。」
その言葉を最後に奴隷商人は、残りの2億リルを置いてその場をあとにしたのだった。
その日の夜、カルナはバルドに今日のお客と何を話していたのか気になってしまって内容を聞いていた。
「あなた今日は何を話しておられていたのですか、随分と深刻な顔をしていましたが大丈夫ですか」
「大丈夫だ、今日は内密な話をしていたのだ、あまり聞かないでくれるとありがたい」
「分かりました」
「そういえば今日、アレンが庭を歩いているととても楽しそうに笑っていましたよ。その笑顔を見るとわたしは、ずっと守りたいと思いましたよ。」
「そうだな」
小さくつぶやくバルドにカルナは少し不安を覚えていたのだった。
その日僕は運命の出会いをする 菊千智大 @huruisinngo9
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