第11話ダンスパーティー②
その日の昼。
相変わらず昨日と変わらない今日。
私は栄次さんが渡してくれたお弁当を取り出す。
何だろう?とワクワクしながら包みを開けていく。
「あっ!サンドイッチだぁ♪」
普通のサンドイッチとは違い可愛くオシャレなミニサンドイッチだった。
一口サイズで可愛く包装されて色とりどりだ。
喫茶店に並べてもおかしくない可愛さ。
「時間掛かってるんだろうなぁ〜。すっごく可愛い♪」
私は笑みがこぼれ、口の中に入れる。
「美味しい♪」
その時だ。
「ねえ、カッコ良くない?」
「本当だ!」
「彼女いるのかな?」
「え〜、どうなんだろう?」
「でも…もしかするといないかもしれないよ」
「声掛けてみようよ」
そういう会話が聞こえてくる中、私は気にもせず、サンドイッチを食べる。
「なあ、サンドイッチと言えば?」
「う〜ん…玉子サンド!」
「だよな〜」
「うん。ん??」
《あれ??今…声…気のせいかな?》
そう思いつつも、私は次のサンドイッチに手を伸ばすが、別の方向から手が伸びてきた。
「ん?えっ?」
その手を目で追う。
ドキーッ
私の目の前には、意外な人物、竜神君の姿だった。
「えっ!?竜…っ!」
サンドイッチを私の口に放り込むように突っ込まれた。
「むぐっ…」
私は何とか食べ終える。
「な、何すんの!?」
「ブサイクな顔してたぞ!」
「わ、悪かったな!ていうか何してんの?竜神君、カッコ良いから注目の的だよ!しかも女子校なんて来たら逆ナンされるよ!」
「確かに、ここに来る迄、すっげえ声かけられたなぁ〜俺。期間限定一日のモテ期!」
「期間限定って…。期間限定に限らず常に当たり前だと思うよ!声かけられない方がおかしいから!」
そこへ――――
「あのー、すみません!」
私達の間に、お構い無しに割って入って来る女子生徒。
迷う事なく竜神君に声を掛けて来た。
《ほら!来たよ!》
「はい?」
「今日のダンスパーティーの相手いますか?」
「ダンスパーティー?」
「はい」
《人前で交渉するの辞めて欲しいんだけど》
《こんな光景、目の前で見たくないし、聞きたくない》
「悪い!いるんだよね」
ズキン
《いるんだ…》
「そう…なんですか…。分かりました…」
彼女達は去って行く。
「なあ、そのダンスパーティーの事なんだけど…」
「うん。ダンスパーティー、相手誘ったら?私と一緒にいる時間もったい無いよ。早くしなきゃ誰かに誘われちゃうよ」
「だから来たんじゃん!」
「えっ?」
「もしかして、もう誘われた感じ?恭ちゃんに」
「えっ?竜神君?」
グイッと手首を掴み立ち上がらせると同時に私の唇に竜神君の唇が重なった。
ドキッ
《えっ!?ええ〜っ!》
「悠菜以外、いるわけねーじゃん!」
至近距離で言われる。
私の胸は一気にドキドキ加速する。
「俺…恭ちゃんみたいに何でも出来る訳ねーけど、でも、お前が他の男といんの嫌なんだよ!」
「………………」
「前に恭ちゃんに、お前の事聞かれて、付き合えば?って…言ったけど…後で自分の想いに気付いて…俺…お前が好きだから!」
ドキン
「…竜神…君…」
「俺と…付き合って欲しい!悠菜!」
「…うん…私も…竜神君が…好き…」
私達は付き合う事になった。
「そういや…お前、学祭周れた?」
「周れてないよ…受け付けしてるし…だから、栄次さんが、お昼特別に作ってくれたから」
「ちょっと待って」
「うん…」
竜神君は携帯を取り出し誰かに連絡する。
「竜神君」
「あっ!悪い!」
ここの女子生徒と思われる。
「何?」
「受け付けしてやって」
「受け付け?」
「えっ?竜神君、そんな駄目だよ!私は大丈夫だから」
「昨日もずっと受け付けしていて自由時間ないのって酷すぎるだろう?」
「えっ?」
まさか竜神君の口から、その事を聞くとは思わなかった
「そうなの!?」と、女子生徒。
「俺も同じ寮生から聞いて…とにかく学校側には俺達から言わせてもらうけど、これ以上、彼女はここにおいておくわけには行かないから連れて帰る!お前も適当に帰って自分のクラスに戻って貰って良いし、ここの生徒なら、お前からも学校側に言って貰うとすっげぇ助かる」
「分かった。彼女さんも大変だったね」
竜神君に、そう言うと、私の方を見て言ってくれた。
「こっちは任せて!」
「でも…」
「大丈夫よ!」
私達は、そこから去り学園祭は、女子校と共同にする事は禁止となった。
私以外にも、同じ目に遭った女子生徒がいた事が明らかになった。
そして、恭吾君には竜神君との事を話した。
だけど、学園祭の一日目、私と栄次さんの会話に偶然遭遇したみたいで責める事もなく対応してくれた。
〜 E N D 〜
パラダイス学園 〜 近藤 竜神 編 〜 ハル @haru4649
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