第10話 ダンスパーティー①
次の日。
「悠菜ちゃ〜ん、起きてる〜。朝よ〜」
栄次さんが部屋に訪れた。
「栄次さん…おはようございます」
「おはよう。学校、行かないの?」
「…それは…」
「取り敢えず食堂に来て」
私は食堂に行く。
私以外の寮生は既に朝食を食べている。
しかし、竜神君と恭吾君の姿はなかった。
「おはよう、悠菜ちゃん」と、亮平君。
「おはよう…」
「お前が寝坊って珍しないか?」と、康介君。
「…そう…かもね…」
「お前は、俺より低血圧じゃないはずだが?」
と、零一君。
「…うん…それは…違うけど…。それより二人の姿がないね」
「二人は時間差で行ったみたいだが」と、零一君。
「…そっか…」
取り敢えず席につき、私の朝食を準備してくれる栄次さん。
「悠菜ちゃん、どうかしたの?」と、亮平君。
「えっ?」
「悠菜ちゃんらしくないなぁ〜と思って」
「そう?」
「学祭で疲れたんか?」
「…それは…ないとなると…嘘になるかな…?」
「悠菜ちゃん?」
亮平君が顔をのぞき込む。
「で、でも大丈夫だよ」
「そう?」
「うん」
「それなら良いけど…」
私は朝ごはんを食べる。
「後、悠菜ちゃん、これ昼に食べてね♪」
栄次さんが私に言った。
「これ…何ですか?」
「昨日は何も食べれなかったから、女子校に持って行って、昼間に受け付け中にでも食べて♪」
「やった!良いんですか?嬉しい♪」
「勿論♪今回は悠菜ちゃんには特別よ〜♪食べないなんて体に悪いもの〜」
「ええ〜っ!何で悠菜ちゃんだけなん?」と、康介君。
「栄次さん、俺達のは?」と、亮平君。
「あなた達は学園祭、周れるでしょう?悠菜ちゃんは昨日、大変だったんだから〜。ねえ〜」
「はい」
「何かあったのか?」と、零一君。
「受け付け、誰一人と交代しようとしない馬鹿女達が、男アサリして!悠菜ちゃんを飢え死にさせようとしてたのよ!本当、悪女の集まりよねぇ〜。女って怖い、怖い」
栄次さんが軽く説明してくれた。
男アサリって言うのは、どうか分からないけど一理あるかもしれない…
「タチ悪っ!みんな殴ったれ!」
「康ちゃん、それ犯罪だから!」と、亮平君。
「だったら学校の放送で匿名で女子校の悪い噂を放送すれば良いんじゃないか?」
零一君が言った。
「それにプラスして呪いかけたれ!」
「ハハハ…」
私達に笑いが起こる。
私に対する励ましなのだろう?
「大体、交代しないって…どういう神経しているんだ?理解出来ん!」
私達は色々話をしながら食事を済ませ4人で学校へ向かう。
別れ際―――
「悠菜ちゃん」
亮平君から呼び止められた。
「何?亮平君」
「大丈夫?」
「えっ?」
「学祭の事もあるかもしれないけど…恭ちゃん、竜ちゃんの事で悩んでない?」
「それは…でも…そんな余裕ないかな?取り敢えず、学園祭が無事に…」
スッと亮平君は私の両頬を優しく包み込むように触れる。
「亮平君…?」
「ダンスパーティー、竜ちゃんと行けたら良いね」
「だけど…誘われてないから…」
「今日はまだ始まったばかりだよ」
「えっ?」
「パーティは学祭の最後の、一大イベントなんだから、まだ諦めるな!」
「亮平君…うん…ありがとう」
そして、学校のH・Rの後、栄次さんの作った、お弁当を持って、女子校に移動しようとした時だった。
「悠菜」
名前を呼ばれ振り返る視線の先には竜神君の姿。
ドキン
「竜神…君。…何?」
「恭ちゃんから何か言われた?」
「えっ?恭吾君?ううん。今朝は会ってないし」
「そうか…」
「…どうして?」
「いや…だったら良いや」
「そう?じゃあ、私行くね」
「ああ。悪い…呼び止めて」
「ううん」
私達は別れ、私は女子校に移動した。
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