第9話 学園祭
あれから、竜神君と口を訊く事はなかった。
「学園祭!?」
食堂であるリビングに栄次さんといる時、話をしていた。
「そう!女子校と共同企画なのよ〜」
「…そう…なんですか…」
「それでねぇ〜、その学園祭の定番でメインイベントがダンスパーティー!一気にカップル増えて〜」
「えっ!?ダンスパーティーぃぃっ!?…へぇ〜、…そ、そうなんですね」
「そう!好きな人を誘う大チャンスよぉ〜♪それで、悠菜ちゃんはどうするのぉ〜?」
「えっ!?」
「竜ちゃんと恭ちゃん。どちらか誘ったら?それとも誘われてる感じかしらぁ〜?」
「いいえ」
「そうなの?」
「はい」
それから学園祭の準備に追われる事になりダンスパーティーの事なんてすっかり忘れていた。
ちなみに、私達の高校は女子が少ないのもあり私は女子校に協力となり寮生とは別々の行動となっていた。
―――学園祭当日
結局、ダンスパーティーの誘いはないまま、勿論、私から誘うなんて到底、無理な話。
そして一日を迎える。
私がいる所は、受け付けが必要で席は外されなかった。
昼になり本来なら学園祭の出し物を周って食べに行ったりされるはずが周れる状況ではない。
学園祭の為、お弁当は栄次さんさんの意見で寮生は、お弁当を誰一人持たせて貰っていないのだ。
「…おなか空いた…」
長い一日が終わり私は即効寮に帰る。
「…ただいま…」
「あら〜、お帰り〜、学園祭どうだった?」
「…最悪です…」
「えっ?どうかしたの〜?」
私は食堂であるリビングに行き、テーブルに顔を伏せる。
「…私…昼食べてないんですよ…学園祭…一切周れなくて…」
「まあっ!」
「誰一人と交代しないし…もう本当…最悪…明日休みたい…」
私は栄次さんに愚痴をこぼす。
「はい、ミニおにぎりでもどうぞ。すぐ、夕飯の時間になるから足りないかもしれないけど軽く食べなさいな」
「うわぁ〜、ありがとうございます♪」
私は一口パクっと食べる。
「美味しい♪」
「良かった♪ところで、ダンスパーティーのお誘いはあった〜?」
「ダンスパーティー?あー、忘れてた。…まあ…今日みたいな感じなら行く暇もないし、一層の事休もうかな?」
「そんな休むなんて…今日、頑張ったんだから明日、恋愛の神様がご褒美くれるわよ〜」
「そうかな…」
「そうよ!休むなんて言わないで!もし、今日みたいな一日だとしても、きっと頑張った分、良い子供あるわよ!ねっ!悠菜ちゃん」
「栄次さん…」
「こんな可愛い子に幸せくれないなら私が許さないんだから〜!」
「クスクス…ありがとうございます」
「それで、悠菜ちゃんは、どっち寄りなの?」
「えっ?」
「恭ちゃんと竜ちゃん」
「…私は…竜神君です…」
「ちょっと…色々あって…同じクラスとはいえ全く口訊いてないですけど…」
「…そう…。でも、竜ちゃんも満更じゃないと思うのよねぇ〜」
「恭吾君も言ってました」
「告白すれば良いのにぃ〜」
「今の関係…嫌いじゃないし…」
「だけど、彼に触れたいって思うでしょう?」
「…それは…」
「キスする事も、体の関係になる事も、友達では出来ない事、沢山あるわよぉ〜。恋人同士だからこそ二人でしか味わえない感覚だってあるわけだしぃ〜」
「…栄次さん…」
「頑張って!女の子しか出来ない事も沢山あるんだから〜。女の子だからこそ生まれた事に感謝して幸せ掴みましょう?私、応援してるから♪」
「ありがとうございます!」
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