第8話 竜神の秘めた想い
そんなある日の事だった。
竜神君が他校生の女子生徒に告白されている所を見掛けた。
その時
私は自分の想いに気付いた。
彼が好きだという事を……
人は何故
他人のものになった時
気付くのだろう?
〜 竜神 side 〜
「悠菜ちゃん、最近、どうしたのかな?」と、亮ちゃん
「変な物でも食べたんちゃうん?」
「いやいや。みんな一緒の物食べてるから」
亮ちゃんと康ちゃんは話す。
「女の子はデリケートだから」と、恭ちゃん。
「アイツにデリケートも何もなくね?」と、俺。
「それは失礼だよ。竜ちゃん」と、亮ちゃん。
「全く女心わかってないんだから〜」と、恭ちゃん。
「そういや竜ちゃん、彼女とどうなったん?」
康ちゃんが俺に尋ねた。
「彼女?誰の事?」
俺は不思議に思った。
偶然、私も用事で食堂のリビングに行こうとしたものの、その会話に足を止め身を隠した。
俺も悠菜が近くにいるとは知らず話を続けた。
「女の子と歩いている所の目撃証言が…」
康ちゃんが言った。
「彼女いるの?」と、亮ちゃん。
「彼女いねーし!多分、友達だと思うけど?確かに告白はされたけど、俺、断ったし!だから彼女はいない」
「青春楽しめばええやん」
「俺、彼氏彼女で縛られんの嫌いなんだ」
「せやけど、それやったら付きおうてる意味なくないか?」
「いや…確かにそうなんだけど…。俺的には友達みたいに付き合えるのが良くて、馬鹿しあって冗談を言いあってっつーのが俺の理想的の恋人関係」
「そうなんや」
「だからって、そればっかりも付き合っている感じしないから決める時は決めるし彼女をリードしていけるような俺でありたい」
「じゃあ、悠菜ちゃんは?それに近い理想相手な感じ?」
亮ちゃんが尋ねた。
「悠菜?あー、アイツとは、それなりに楽しいし」
「恋愛対象じゃない感じ?」と、恭ちゃん。
「…それは…」
「………………」
「どうなの?」と、恭ちゃん。
「恋愛対象にならないって訳じゃねーけど…正直、考えた事はねーな…」
「そうなんだ。じゃあ俺、告白しちゃおうかな?」
恭ちゃんは言った。
「えっ?あー、良いんじゃね?アイツ良い奴だし」
俺は恭ちゃんの言葉に何故か戸惑う中、平然ぶりさで対応する。
「じゃあ、近いうちに告白しようかな?」
恭ちゃんが言った。
「どうぞ!どうぞ!さて俺は部屋に戻ろうかな?」
俺は部屋に移動する事にした。
「俺もー」と、康ちゃん。
「じゃあ、俺も」と、亮ちゃん。
俺の後に続いて亮ちゃんと康ちゃんの二人も部屋に戻リ始めた。
私は慌てて近くに隠れた。
「………………」
そんな3人は食堂のリビングを去り、足音が遠くなって行くのを確認し、そのまま、そこにいると……
「もういいかい?」
ドキッ
突然の言葉に驚く私。
「えっ?あ、も、もう…良いよ…」
「3人は気付く事なかったけど、俺にはバレちゃったね?悠菜ちゃん」
スッと私の手を掴み、壁に沿って向き合い立つ私達。
「そ、そうだね」
「竜ちゃんの事、良いの?」
ドキッ
名前を聞いて胸が大きく跳ねる。
「えっ?」
「本当は好きなんでしょう?」
「べ、別に…」
「………………」
「彼女の事あったから顔合わせないようにしていたでしょう?」
ギクッ
「…えっ!?」
「それより悠菜ちゃんなら竜ちゃんとうまくやれそうなんだけど…?竜ちゃんも満更じゃないと思うよ」
「………………」
「そんな事…友達以上は進展しないと思うし」
「…じゃあ…俺との事、本気で考えて欲しい」
「えっ?」
「話、聞いてたんでしょう?あれ、嘘じゃないから。俺、悠菜ちゃんの事いいなぁ〜と思ってたんだ」
「…恭吾君…」
「考えといて」
そう言うと去って行く。
「付き合えば?」
ビクッ
突然の声に驚き振り返る私。
ドキッ
「竜神君!?」
戻ったはずの竜神君がいた。
どうして?
多分、恭吾君は気付いていたのだろう?
私の背後の近くに竜神君がいたことを……
「アイツ良い奴だし」
「………………」
「…私は…」
《…竜神君が…好きなに……》
「………………」
だけど言えない……
だって……
竜神君は……
もし……
私の事を好きだとしても
恭吾君に遠慮したりして……
竜神君は友達が男女問わず多い
友達思いだし
寮生なら尚更遠慮する
そう思っていた
グイッと手首を掴み壁に押し付け両手で行く道を塞いだ
ドキッ
「何?言いたい事あるならハッキリ言えよ!」
ビクッ
「…な、ないよ!…何もないっ!」
「………………」
スッと離れる竜神君。
「…そっか…悪かったな…怒鳴ったりして…」
「………………」
私は足早に、そこから去った。
「……っ…クソ…っ」
私は部屋に行きドアに寄りかかり、ゆっくり体を崩していく。
「…竜神君…」
〜 竜神 side 〜
壁に寄り掛かる俺
サラっと
何でもやりこなす
恭ちゃんが正直うらやましかった……
俺は触れるのも
うまく出来なくて
不器用だった……
俺は忘れ物をして、偶々戻って来て、二人が一緒にいる所をタイミング悪く遭遇してしまったようだ。
その瞬間
恭ちゃんに嫉妬した
“俺はアイツが好きなんだ”
気付いた瞬間だった
だけど……
その時は既に
遅かった――――
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