第7話 連絡先

ある日の学校帰り、私はどうしても必要な物があり街に出た。



その日の帰り――――



「彼女、一人?」

「えっ?」



振り返る視線の先には他校生の男子生徒の数人がいた。


以前とはまた違う学校だ。



「………………」



「今から帰る感じ?」

「そのまま遊びに行こうよ!」

「ごめんなさい…私…門限があるので…」

「門限!?つー事は、お嬢様?」


「そういう訳じゃ…」


「そうなんだ」

「じゃあ、寮生とか?」

「あー、寮生ね。破っちゃえば?」

「連絡して遅くなるって言いなよ」


「そういう訳にはいかないので…ごめんなさいっ!」




私は後退りをし逃げる事にした。




《どうしよう?まだ街不慣れだし》




その途中だ。



「あれ?悠菜ちゃん?」と、亮平君。


「悠菜ちゃん、街にいてるん?いつも真っ直ぐ帰るんちゃうの?」


「用事あったんじゃないかな?そんな事よりもヤバイ雰囲気だったけど…?」


「はあぁっ!?アカンやん!探すで!」

「あ、うん」



そんな中、私はキョロキョロしながら逃げ道を探す。





「どうしよう??右も左も分かんないよ…」




一方――――




〜 竜神 side 〜



「竜ちゃん、今、何処?」



亮ちゃんから俺の携帯に連絡が入る。



「俺?街だけど」

「竜ちゃんも、街?」

「ああ。どうして?」

「いや…さっき…」



亮ちゃんから悠菜ちゃんの事を聞いた。



「分かった」



電話を切った直後、俺の背中に誰かがぶつかって来た。




「って!」


「ご、ごめんなさいっ!」


「いいえ…こちらこそすみ…ん??あっ!」




グイッと無意識に背後からぶつかって来た相手の手を俺は掴んだ。



「きゃあっ!は、離し…」

「馬鹿っ!落ちつけっ!」



グイッと抱き寄せた。



「きゃあっ!」


「悠菜っ!」



抱き寄せた体を離し、両頬を両手で包み込むようにしっかりと掴んだ。



「悠菜、俺だからこっち見ろ!」


「…竜…神…君…?」


「正解!」



「………………」



彼女は今にも泣きそうな顔をしていた。



「そんな顔すんなよ!今にも泣きそうな顔してんじゃねーよ!」


「…だって…」




竜神君は、私をフワリと抱きしめた。


私の胸は大きく跳ねた。




「大丈夫。俺がいるから」


「うん…」




抱きしめた体を離し向き合う私達。



「亮ちゃんから電話あって悠菜ちゃん見かけたって聞いて状況を説明されて偶然会ったってわけ」


「そっか…」


「用事は済んだのか?まだなら付き合うけど?」


「大丈夫。帰っている途中で声を掛けられてしまって…」


「そっか。じゃあ帰るか」


「でも、竜神君は良いの?」


「えっ?」


「用事あったんじゃ」


「帰る途中だったから気にすんな」




そう言うと頭をポンポンとした。




ドキン



「うん…」



私達は帰る。


途中で康介君と亮平君と合流し私達4人は帰る事にした。




その日の夜。


自分の部屋に戻ろうと自分の部屋の前に来た時。




「悠菜、待て!」



ドキッ


名前を呼び捨てにされ胸が大きく跳ねる。




「竜神君、どうしたの?」

「これ、寮生全員の連絡先」

「えっ?」

「今日みたいな事あったらいけないから、みんなに連絡先教えときな」


「うん…分かった。ありがとう」


「じゃあ連絡先渡したから」



そう言うと、私の前から去り、私も自分の部屋に戻る。



その後、みんなに連絡先を教えておいた。


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