第6話 フレンドデート
寮までの距離
一人で帰れるようになった私
出来る限り放課後の寄り道は
行かないように
心掛けている
そんな、ある日の休日。
リビングに行くと―――――
「あれ?竜神君?」
「悠菜ちゃん」
「珍しい」
「何が?」
「いつも休日いないよね?」
「いない。でも、こんな日もある」
「そうか」
「悠菜ちゃんは?」
「私はいつも変わらないよ」
「えっ?いつもと変わらないって……まさか、いつも寮にいるの?」
「うん。出掛けたいけど何かあったら嫌だし、みんなに迷惑とか心配かけたくないし。学校からも、そのまま帰宅する事がほとんどだよ」
「そうだったんだ。声かけてくれれば付き合うのに」
「ありがとう。大丈夫だよ」
「…悠菜ちゃん…。なあ、今日も寮にいる感じなの?」
「うん」
「じゃあさ何処か行く?」
ドキン
突然のお誘いに胸が跳ねる。
「えっ?」
「みんなもいないし、せっかくだしフレンドデートする?」
ドキッ
デートという響きに胸が高鳴る。
「えっ?…でも…」
「だって暇だし。それに悠菜ちゃん、普段街出ないなら出掛けない?俺とどう?俺付き合うよ」
「でも良いの?」
「悠菜ちゃんが良いなら。俺、暇してるし。ショッピングとか付き合うよ。俺の暇な時間潰れるから逆に助かるんだけど」
「クスクス…外出しないと落ち付かないんだね」
「うん!どちらかというと…俺、外が好きだから!」
「じゃあ…行く!」
「じゃあ着替えて来な。待ってるから」
「うん!」
久しぶり街に出る。
竜神君は付き合ってくれた。
――――夕方
「ごめん。ありがとう!」
「いいえ!ショッピング楽しめたならそれで良いし。俺も楽しめたから。休日も平日の放課後も寮にいるばっかならストレス溜まるっしょ?言ってくれれば、用事ない限りはいつでも付き合うから声かけな」
「うん…」
頭をポンとする竜神君。
ドキッ
チャラチャラしてて
ムードメーカー的な彼だけど
友達思い出
本当は
凄く優しくて
時折見せる
優しい笑顔と
ドキドキさせる行動は
私の心を夢中にさせる
「ただいまーっ!」
「おかえりー」
荷物を抱え、リビングに行く。
「何や?二人でデートかいな」と、康介君。
「フレンドデートしてきた!」と、竜神君。
「いつから、そんな関係になったん?」
「いや友達だから」と、竜神君。
「そうそう」と、私。
「いやー、ほら。コイツ話きいたら寮にいるばっからしくてさ、カビとキノコが生える前に外の空気…」
ペシっと、竜神君の腕を叩いた。
「痛っ!」
「カビもキノコも生えないし!」
「じゃあ、何が生えるんだよ!雑草!?」
「ざ、雑草って…失礼なっ!綺麗なお花に決まっているでしょう!」
「キレイなお花っ!?はあああっ!?綺麗なじゃなくて枯れたお花じゃね?」
「ひ、酷っ!」
「ハハハ……」
みんなが笑う。
「超ウケるんだけど〜?」
クスクス笑いながら言う恭吾君。
「ちゅうか、二人つきおうたらええやん!」
「「無理!」」
二人同時に言った。
「息ぴったりだ!まるで夫婦だな?」と、零一君。
「じゃあ夫婦喧嘩ってやつだ」と、亮平君。
「夫婦喧嘩って感じじゃねーだろ!?」
「じゃあ、何になるわけ?」と、亮平君。
「ただの犬猿の仲なだけだろう?俺達夫婦じゃねーし!」
「そうそう」
「あっ!栄次さん、今日もしかしてカレー?」
「そうよ〜」
「ヤッター!カレーだ!」
無邪気に喜ぶ竜神君。
その姿が愛おしくみえる。
そして本当の恋が始まりそうな気がした。
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