女の子か、男の子か。

女の子か、男の子か。

とっても長い午前中が終わって、午後の最初授業の時間になった。

社会の時間だったから、オリンピックのことについて先生が動画を見せてくれた。

「この湊さんが、今日のテーマの人です。」

先生がそういうと、動画の中の、私たちと同年代ぐらいの子を指さした。髪の毛はかなり短くて、体操着みたいなのを着ていたため、ボーイッシュな印象が残った。

「えーね、この女の子すごいんですよ、聖火リレーで…」

先生が話を続けようとした瞬間に、教室がざわざわしだす。どうしたんだろうと思ってみんなの会話を聞いてみると、

「え？！女の子なの？！」とか、「男の子かと思ったわ」とか、そんなことを話していた。

私は一瞬なにを言ってるのかわからなかったけど、すぐに理解した。みんなは、この子が男の子に見えていて、先生が女の子だと言ったから驚いたんだろう。

でもそれでも、私はまだわからなかった。だって私は、女の子とか男の子とか気にしてなかったからだ。

動画に出てくる子が女の子でも男の子でも、どうでもいいと思ったから。

「はい静かに！動画見せますからねー！」

というと、教室に静寂が訪れた。

今、私は何か言ったほうがよかったかな。

隣にいるメガネの子も、後ろにいる髪の長い子も、女の子だったことに驚いてた。私は、自分の考えを言ったほうがよかったかもしれない。

そんなことを心の中にしまって、私は社会のノートを開いた。