君は僕の横に僕は君の横に

青いバック

第1話

 僕達は、 世間一般的に言う所の、元彼元カノと言う立ち位置に存在する関係。


 しかし、 別れ方は円満だった。


 ある日突然別れが訪れ、 僕達は一緒に住んでいた場所から去った。


 出会いあれば別れあるって言うし、当然の事が当然のように来たと考えればさほど辛くはない。


 でも、 まだ居たかったなあ。 彼処に。


 まあ、もう無理なんだけどね? 無理なのは分かってるけど行きたくなるもんじゃん? 人間って。


 思い出に浸りたくなったりして、 急に夜の空を見上げて黄昏れたりする。


 もう夜空を見上げる必要も無いんだけど。 僕達は。


 正確には見上げることが出来ないの間違えかな?


 悲しいよねぇ。


「本当、 悲しい」


「えっ!? 恋歌れんか!? 何でここに?」


 僕の隣に現れた、 元カノの恋歌。

 恋歌は、 空いていた僕の隣に座る。


「何でって。 一緒に来たじゃん」


「あっ、 そうだった。 忘れてた」


「何で忘れるの?」


 ムスッとした表情で怒ってくる恋歌は、 可愛い。

 膨らんだ頬っぺを突っつき空気を出す。


「意外と呆気なかったよね」


「確かに、 もっと苦しいかと思ってた」


「それな? いや本当にそれ。 でもまあ、苦しよりかはマシでしょ」


「苦しいの苦手だったから、 ありがた」


 水を中で、 十秒も潜っている事が出来ないほどに苦しいのが苦手な僕にとっては、 呆気ない方が嬉しいのだ。


「さっ、 雲の上からは退散しますか」


「そうだね」


 お尻に付いた雲をはたきおとし、 立ち上がる。


 それじゃ、 さようなら。この世。

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