第三話 未来からの渡人
「「生きている時が違う?」」
二人が疑問を持つのは当たり前だ。そもそも生きている時代が違う人間なんて、この世に存在しないはずだから。しかし、天音はその【存在しない】はずの人間であり、実際に刻を越えて、令和から江戸まで来たのだ。
『そうです。お二人が信じるか信じないかは、おまかせしますが…。私は今から約150年前から、この時代に来たようです。』
天音自身もびっくりしていたので、スラスラと他人に言えたことに、(あぁ、私凄く落ち着いてる)と思ったのである。
「ふぅ〜ん、150年前か。その証拠はあるの?」
『もし、私を生かしたら。その時にわかりますよ?一つ言うと、これから一人。重要な人が暗殺されます。』
(あ、疑われて、死ぬのもありか…。)
カチャ ツーー
天音の首には刀の刃が…そして、血が垂れてきている。
多分、疑われているのだろう。
…土方歳三という男に。
土「その言葉には嘘偽りはないな。もし、あったのなら、お前の首が飛ぶぞ。」
(なるほど、確かに、鬼の副長と呼ばれるわけだ。)
天音は感心していた。
呑気すぎるのはわかっている。だから答えた。
『さあ?これが真実になるか、それとも嘘になるのかは貴方達次第だし、別に…殺されたって構わない。』
ピクッ
沖田が何故か、天音の言葉を聞いて反応した。
沖「普通、命だけはって言うところなんですけど。殺されたって構わないなんて、言わない方がいいですよ。」
(じゃあ、何と言えば正しい?)
刃を首に当てられていることも忘れ、天音はずっと考えてた。
(私を殺してください?それとも…何?)
プツン ツーー
(あ、首、今さっきより切れた)
自分の首に少し痛みが入ってきて、天音は今いつでも死ぬことができる状況であることを思い出した。
土「おい、このままだと本当に死ぬぞ?」
沖「そうですよ、本当に死にますよ?」
何を言い出すのか、二人は心配をし始めた。
何故、心配するのかはわからないが…。
『はぁ、わかりましたよ。言えばいいんでしょう?』
実をいうと、天音は少し遊んでいた。
二人はどんな反応をするのかと…。
(死にたいのは本当だけどね…?)
『すみません。さっきは焦らしてました。本当のことを言いますね?』
現代自殺少女と浅葱色の武士 葵穂乃歌 @aoihonoka
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